イタリア・ジェノバ紀行 その2
尊敬する偉大なサッカー選手がいる。
その選手は俺と同じ歳だ。
そして現在もなお、自らの身体を鍛え上げプレーヤーとして活躍している。
いろいろな理由をつけて早々に選手を引退してしまった俺にとって、
燃え尽きるまで現役にこだわるその姿
はとても眩しい。
その選手が、若い頃に日本を飛び出して新たな活躍の地として選んだ地がここジェノアだ。
当時は、今ほど日本人選手市場が確立されていなかっただろうし、生活だって保証されてなんかいなかったと思う。
そんな彼が単身で乗り込んだ街を、地図を頼りに駅から港へ、そして中心部からスタジアムへと向かう。
日本人の姿なんか全く見ない街だけど、
過去に彼が住んでいたかと思うと、街角に何となくその息遣いを感じる。今の彼を構成する、人を魅了する原点がここにもあるような気がした。
あてもなく歩き、疲れると公園の片隅で本を読んだ。
日が傾き始めた頃、ざわめき始めたスタジアムに到着する。
西日に照らされたスタジアムを、徐々に人が満たしていった。