頑張れダイジ君!その3
計量、ダイジ君!
「先生、体重が落ちません!」
ダイジからキッパリと電話がかかってきたのは計量当日の朝7時。
「な、なんだと!後どのくらいだ?」
「昨日の夜、1kgぴったりオーバーです!」またもやキッパリと言い放つダイジ。
「このバカ!昨日と変わって無ぇじゃねーか。しかもピッタリって!」とは思ったがそこは43を迎えたオトナ。
頭の中で計算する。あの食いっぷりだと寝てる間に5~600は落ちてるとして、9時に計量だから1時間も走れば残りはなんとかなる。
「よし!ダイジ、今から走りに行くゾ。3分後にロビー集合だ」
当然だが、目覚めの熱いシャワーを浴びてアタマもカラダもスッキリ。10分後にロビーへ。
俺のちっちゃなリベンジも全く気が付いていないほどポーっとしてるダイジ。
心の底からブッ飛ばしたくなるが、まぁ43なんでガマンする。
山の頂上なんで、走ると下るのみ。
軽快に下って行くと、何やら大きな石が。
「先生、ちょっと待って下さい」突然石にしがみつくダイジ。気が狂ったかダイジ!
「な、何してるの?」恐る恐る聞く俺。
「パワー貰ってるんです!」なるほどパワースポットっぽいが、よく見るとコンクリート製でダメそうだぞ。大丈夫かダイジ!
結局、楽に下った分キビシい登り坂を戻ってホテルに到着。
「先生、計量まであと3分です」
「うるせぇ。わかってる」
「先生、後1分で時間です」
「次、時間言ったらコロす」
「先生、たった今遅刻になりました」
迷路のようなホテルの廊下。時間を2分ほど過ぎた頃、
「ここを曲がったら着くように祈ってろ!」
「先生、何に祈るんですか?」
「とりあえずアラーの神様だろ!」
なんと、曲がってみたら会場。さすがイスラムの国。
ダイジ、わずか200gアンダーで計量パス。
ロードワークでかいた汗も、遅刻するかと思ってかいた冷汗も、
全て俺のおかげだ!
で、お決まりのポーズ3連発。
段々と浸透してきてるぞ、ダイジ。
ここまで来たら遣り通せ。
頑張れダイジ君!