彼は11時半にスタートするキックボクシングイベント、2番目に出場する。

一番始めに会場入りしたらしい。

礼儀をわきまえているじゃないか。

その後、続々と入ってくる選手がバンテージを巻き始める。

少しだけ不安になった彼は、俺に電話をかけてきた。

未だ会議中だった俺は「マッハ3で行くから大丈夫」との返答に、短く「わかりました」と答える。

11時に開場しても、俺は渋滞する高速道路をノロノロと進んでいた。

俺が会場入りしたとき、既に第一試合は始まっていて、

「蛯澤選手、バンテージチェックお願いします！」選手係の若者が半ばキレ気味に控え室に。

入場直前に用意は終った。

「先生、ありがとうございます」既に全てが終ったかのような満足げな表情でリングに上がる彼はオトコだった。

結果、2ラウンドKO勝ち。

雑念を排して闘いの場に臨んだエビちゃん、素晴らしい！

すいません、雑念は全て僕のせいでした。