コーランの流れる国へ その2
少しも揺れない完璧なランディングに沸き上がる拍手。
え、そんなに凄いことなの?
いやいや、そうだった。
初めてイランに行った10年近い前の事を思い出した。
当時はナショナルフラッグ、イラン航空が成田イラン間の直行便を運行していた。
アメリカの経済制裁がきつい頃で、見た目にボロいボーイングの機体に、
嘘か信かアメリカ製のボーイング、交換部品も売ってもらえないのが理由と言っていた。
その理由が本当の事だと心から信じられるくらい、
例えば自分のシートの読書灯を点けると、二つ先のシートの読書灯が点く、まるでコントみたいなボロさ。
でもパイロットは実践経験のある空軍出身者なんで、間違いないんだぜってそいつは言っていた。
いやぁ、どんなに優秀なパイロットだって飛んでる途中に壊れたらどーにもなんないだろ、
なんて思ったけど、ホントに壊れたら洒落にならないから言うのを止めた。
そんな理由からの反骨精神なのか、それとも無事に着陸できたことを祝ってなのか、
ランディングと共に巻き起こる拍手は、今も昔も変わらなかった。
いや、当時と比べたら遥かに立派な機体はエミレーツ航空。
変わらぬ拍手は、きっと陽気な砂漠の民の歓迎の証なんだろうな、って思った。
なんとなくスカスカな
、少し寂しげな空港に着くと女性はそそくさと頭に顔にベールを被る。
イラン人以外の、それが日本人であってもアメリカ人であっても、
キリスト教や仏教徒であっても、
例外の無いそれは、宗教から遠い位置にある僕ら日本人にはとても不思議にえた。
さて、いよいよだ。