江戸川
僕は大阪で生まれたけど、
物心つく頃にはこの市川に住んでいた。
父の会社の社宅は江戸川の近く。
幼稚園の頃、
毎日土手をダンボールで滑り降りて、竹竿で手長エビを釣った。
小学校に上がるときに江戸川から離れた、同じ市内の今の家に引っ越した。
でも自転車を買ってもらった僕の行動範囲は広がって、
やっぱり江戸川に、今度は大きな鯉を釣りに行った。
イタズラ盛りの中学生の多くは、この土手で無駄に焚火をする。
都内の高校に通うようになって、毎日この江戸川を電車で行き来した。
プロボクサーになっても僕はこの土手を走るのが大好きだった。
なぜだかデートも江戸川の土手が多かった気がする。
45歳になって、
そんなに早く走れなくなっても、
焚火なんて無謀なことをしなくなっても、
江戸川の土手はいつもと同じ。
そんな変わらない景色が、
どんどん変わっていく僕の目を通して
とても貴重だってことに
今日、気がついた。