ロシア紀行 その2
大きな川を挟んでテンションの上がっちゃうような由緒ありげな建物のまん前に建つホテルにチェックイン。
すっかりと自信を無くした英語で、スタッフにスケジュールを確認すると明日の4時にロビーで待ち合わせらしい。
で、試合カードの内容は?って聞くと少し困ったように顔を曇らせた。
あ、やべぇ。通じなかったか?
また少しだけ凹んだ。
あ、良いです。明日は頑張りますから。
適当にごまかして部屋へと向かう。
ふう、とため息をついて
とりあえず染みのついたTシャツと汗まみれの下着をゴシゴシと手洗い。
もう夜の9時なのに外は普通に明るい。
やること無いから走るか。
フロントで地図をもらって由緒ありそうな建物に向かう。
橋を渡って間近で見るその建物はホテルだった。
なーんだ。
ユーターンして、今度はクレムリンがちゃんとあるかどうか確認しに行くことにした。
パラパラと振り出した雨は段々とその勢いを増していく。
ようやく夜の帳が下りてきて、あたりは薄暗くなってきた。
ホテルで貰った地図は、ビショビショになってビリビリに破れた。
なんだかセツナイ。
静かな街路樹が茂った通りを抜けると、
いきなりギンギラギンの通りに出る。
人気が無いのに何故こんなにピカピカしてるのか、
不思議に思いながらも、なんとなくクレムリンはコッチだって方向に走る。
なんだか怪しそうな地下通路の先に、クレムリンの先っぽが見えた。
良かった。
なんとなくホッと胸をなで下ろしてホテルに帰る。
そう言えば飛行機を降りて何も食べていないことに気がついた。
猛烈にお腹が空いてる上に、
雨は、もう土砂降りってレベルの降り方で、濡れた鼠のようにアワレな感じで震えながら走る。
そんな時、僕の前をガシガシと歩いているお兄さんに気がついた。
そのお兄さんは、もうそれが当たり前っいて位に堂々と雨の中を傘もささず、
オトコらしく水溜りもビシャビシャと踏み込んで歩いていた。
何人も俺の邪魔はさせない、そんな意志の強さを感じる。
なんとなく、こうじゃなきゃって思って
俺も顔を上げて堂々と雨の中を走ることにした。
ホテルにつく頃には11時近くなっていて、2時間も何してたんだって思う。
ビショビショのシャツと下着をまた手洗いして、
日本ではすっかり明け方の時間にベッドに入る。
なんとかオトコのプライドは保てたけど、お腹が空いて眠れなかった。