試合開始前の審判団ミーティング。今回は決勝戦の為、イギリスとアメリカからK-1のルールを熟知している審判員（本当は、自国に帰ればエライ人たちなんです！）をお呼びして国際色豊かなキャスティング！

さぁ、知られざる選手の素顔、最後はピーター・アーツ選手。今回はリザーブマッチでしたが、相手は稲妻のようなキックを繰り出すトルコの英雄、グーカン・サキ。アーツが39歳、サキは28歳。アーツは、僕がK-1を始めた頃には、既に大スターでした。でも、いつも試合前に少し聞き取り辛い英語で冗談を言っては、自分でガハガハ受けていました。その光景は10年たった今でも変わりません。

今回は、相当身体をしぼってきたみたいです。アーツの身体は、現役以上の身体にキレてました。少し、スピードに欠けるパンチやキックは、年齢を考えれば致し方ありません。しかし、そのタイミングは、まさに絶妙。これこそが経験でしか得ることのできない技術だと思います。

彼が、本当にスバラシイ選手だと思ったのは数年前にオランダで行われたホースト選手の引退試合。実は、この試合の相手をボブ・サップが努めるはずだったのですが、なんと試合開始直前にキャンセル。あり得ない、だってほんの数分前までバンテージ巻いて、試合の準備をしてたじゃない！そうは言ってもいないものはいません。現場では極限の混乱状態でしたが、な、なんとTVの解説をやっていたアーツが相手を買って出たのです。アップもそこそこに、キックパンツさえ他の選手に借りて。もちろん、選手はプロですから、お金のために闘うって事は間違いじゃありません。でも、イベントを守る、K-1を守る、って意味での出場は、負ける事のリスクを考えるよりも遥かに素晴らしいものだと思いました。こんな感情は恐らく、とても日本人的なのでしょう。いえ、だからこそ彼は日本人に人気があるのだと思います。

ピーター・アーツ選手、年齢を引退の理由にしない、男の中の男です！