ギリシャ紀行 その6
イベントの朝。
どうやら僕の中枢神経は興奮しているらしく、朝早くに目覚めた。
こんなときは心を落ち着かせるために散歩しかない。
フロントで貰った地図で見ると、初日に見かけたでっかい遺跡まで2センチ。
朝の透明な空気を胸一杯に吸い込みながら、迷わないようにゆっくりと歩く。
入口で5ユーロの入場料を払って中に入った。
すげェ。
何千年も前にこんなの造っちゃうなんて、ハンパなくすげェ。
機械なんか無くて手で作ったはずの直線が、すげェ。
メマイのするような圧倒的な直線。
真っ直ぐなだけでこれだけ感動させてくれる直線、すげェ。
ぐるりと一周して外へ出る。
更に歩いて近代五輪発祥の地へ向かった。
第1回目オリンピック、マラソン競技のゴールだったらしい。
本当は最初から最後まで走りたかったけど、ちょっと無理そうなのでゴールだけ。
両手を上に上げて、一瞬だけゴールしたフリをする。
恥ずかしい。
やっぱり42.195kmをたった1mに短縮したら、感動も1/42195だった。
人の流れに沿ってギリシャの人になる。
ゆっくりと歩いた。
たくさんの人で賑わう、肉と魚の市場。
僕は現役の頃、魚市場で働いていた。
威勢の良いマグロのセリなんかやっていた、
ワケでは無くて、オトナシい練り物担当だったけど、
なんとなく心が沸き立つような懐かしい雰囲気。
あぁ、これもまた世界共通なんだなぁ。
ぐるりとアテネ市内を散歩して、感動して、恥ずかしくなって、懐かしい想いをした。
ユラユラと揺れ動く気持ちは、
いつしかヨッシャ、って青白い炎のように熱く静かに燃え上がる。
いよいよ会場入りの時間。
行ってくるぜ!!