エーゲ海。なんて素敵な響きなんだろう。

先乗りしたIさんと食事をしたときに意外に近いと聞いた。

もう、行ってみたくて、行ってみたくて。

でっかいホタテの貝殻に金髪の美女が裸でいるに違いない。

もう、行かなくちゃ、行かなくちゃ。

ホテルでもらった観光マップを広げる。なんとなく海っぽいところまで10センチ。

アクロポリスまで3センチだったことを考えれば、朝イチで走り出せば行けそうな気がした。

少しだけワインに漬された脳ミソを叩き起こして、朝早い時間に海に向かって走り出す。

アテネ市内から海岸まで、緩やかな下りが続いた。

調子よく走る。30分も走ると海の匂い。

いつの間にか真横を高速道路と鉄道が通る。間違いなく海の匂いはその向こう側から。

そこからまた30分。いい加減疲れてきたところで、ようやく渡れた。

海の匂いはますます強くなる。

でもフェンスに阻まれ、

袋小路に阻まれて海に出ることが出来ない。

いよいよタイムリミット、って時にポッカリと海まで開けた道に出た。

あぁ、ホタテに乗った女神のお導き。



見て、この素敵な海。

帰りの時間を考えると5分もいることができなかったけど、

見ることが出来てよかった。

ホタテの女神はいなかったけど、

来ることが出来てよかった。

ヤバい。いつの間にか予備計量の時間が迫っていた。

来た道を戻れば間違いなく間に合わない。

なんとなく真っ直ぐ行かれそうな、微妙な上り坂の道路を勘を頼りに走る。

そりゃもう一生懸命に。

多分、ホタテの女神のお導き。

奇跡のような確率でホテルに帰りついた。

バタバタと着替えて、会場に降りると5分前。

僕は、ちょっぴり筋肉痛になりそうなフクラハギをセルフマッサージをしながらホタテの女神に感謝した。



計量はほぼ全員がパス。

ルールレヴューも滞りなく終わり、

さぁ、明日はいよいよ本番です！