ギリシャ紀行 その8
どんな綺麗なラウンドガールよりも、
どんな素晴らしい演出よりも、
彼らにしか見せることが出来ない
勇気や、
気迫や、
技術。
小さな四角いリングの中で、
1万人近い会場のお客さんたちに、
TVの画面を通じて見ている世界中の人たちに、
それらを見せるのがK-1ファイターの責務であると、僕は思います。
ザンビディスの勇気。
キシェンコの気迫。
サワーの技術。
全てを破って優勝したグロンハート。
どれをとっても間違いなく世界最高レベルでした。
未だに耳に残る大きな声援はその証です。
K-1史上に残る素晴らしい決勝戦は幕を閉じました。
全ての試合が終わって解体されるリングを見ていると、
ついさっきまで熱戦が嘘のようです。
でも、この瞬間から選手たちは次の試合に向けて努力を開始するんです。
次の世界最高の舞台、K-1を目指して。
スイマセン、僕らはちょっとだけ余韻に浸ります。
週末のアテネの小さな居酒屋さん。
身体は疲れて雑巾のようにクタクタになり、
試合の熱にアテラレて言葉は少ないけど、
なんだか満足げな僕らでした。
すごく心に残ったことがあります。
試合終了後、ある国のトレーナーと話しをしていました。
初の開催で運営はテンテコマイだったようで、
僕は彼に、「今回のイベントはどうだった?」と聞きました。
「彼らはとても一生懸命だった。僕らはそれに協力する義務がある」と彼は言いました。
僕は思います。
選手はもちろん、僕らのような審判、イベントを制作する人たち、お金を集める人たちやチケットを売る人たち、そして放送に携わる人たち。
いろいろな人が、プロフェッショナルな仕事をしてこそ
このK-1が成り立つんだな、と。
全てのK-1に携わる人たちに感謝して、
明け方近くに僕はベッドに入りました。