ギリシャ紀行 その7
地下鉄を乗り継いで会場のオリンピックスタジアムに向かう。
その路線はいつの間にか地上に出て、
周りの景色は京成線沿線みたいに少し薄茶色にくたびれた感じがして、なんだかホッとした。
その駅は終点から2つ目で、注意深く車内の放送と路線図を交互に確認する。油断すると、よく乗り過ごすから。
到着したオリンピックスタジアムは広大で、一体どこが入口なのか分からない。ことごとく予想と予感は外れ、グルグルと同じような所を歩き回った。
そのうち、いい加減あせり始めた頃
昨日の計量で会ったような気がしたイカツイくて口元にごっそりと髭を生やしたオトコが前を通った。
ワケを話すと、「俺について来い」って力強いお言葉。
無秩序に伸びた髭が凛々しく見える。
その髭オトコは、大きな扉の前に立った。
ここだよ、どうぞ!
そういってバラバラの長さの髭を揺らしながら、髭オトコはドアを開けてくれた。
おい、プールじゃねぇか。
しかも水球とかやってるし。
髭オトコは、いいんだ、お礼なんか。って感じでパチリとウインクすると、スタスタとプールへ降りていった。
その背中に飛び蹴りを喰らわせたい気持ちを、グッと抑えて俺は身を翻した。
20分後、ようやく日本人スタッフと連絡が取れて会場入。
気を取り直して。
リハーサル中の会場は、もうやる気マンマンで
満を持すって勢い。
軽く膝を屈伸させると、気持ちも引き締まった。
さぁ、行きますか!