CCCと永劫回帰と死神と

「テヘランの死神」という寓話を最近知った。アウシュビッツの生き残りであるフランクルが著書の中で紹介しているのだが、こんな内容である。

******
裕福で力あるペルシア人が、
召使いをしたがえて
屋敷の庭をそぞろ歩いていた。

 
すると、
ふいに召使いが泣き出した。
なんでも、今しがた死神と
ばったり出くわして
脅された、と言うのだ。

 
召使いは、すがるようにして
主人に頼んだ。
いちばん足の速い馬を
おあたえください、
それに乗って、テヘランまで
逃げていこうと思います、
今日の夕方までに
テヘランにたどりつきたいと
存じます。

 
主人は召使いに馬をあたえ、
召使いは一瀉千里に
駆けていった。

 
館に入ろうとすると、
こんどは主人が死神に会った。

 
主人は死神に言った。
「なぜわたしの召使いを
驚かしたのだ、
恐がらせたのだ」

 
すると、死神は言った。
「驚かしてなどいない。
恐がらせたなどとんでもない。
驚いたのはこっちだ。
あの男にここで会うなんて。
やつとは今夜、テヘランで
会うことになっているのに」
*****

 

一読、この寓話は「運命には逆らえない」という意味のように思える。また深読みすれば、召使はその場を動かなければ死神に会わないかもしれないのだから、運命に逆らおうとすると、かえって悪い結果となる。だからなすがままにせよ、という意味にも読めそうだ。

この寓話で想起されたのが、ニーチェの永劫回帰思想である。まったく同じ生が何度も繰り返され、現在は過去であり未来でもあり、遠い昔に私はここで同じ言葉をキーボードに打っており、遠い未来にも私はやはりここで同じ言葉をキーボードに打っている。

 

テヘランの死神にせよ、永劫回帰にせよ、自分の生を受け入れられないものにとって、これは非常に酷である。それを克服するためにニーチェはこう言う。「この必然を、私は欲した」と。

一切は行き、一切は帰る。存在の車輪は永遠にまわっている。一切は死に、一切はふたたび花咲く。存在の年は永遠にめぐっている。存在という同じ家は、永遠につくりなおされる。一切は別れ、一切はふたたび会う。存在の円環は永遠に忠実に、自己のありかたを護っている。一瞬一瞬に存在は始まる。それぞれの「ここ」を中心として、「かなた」の球は廻っている。中心は至るところにある。永遠の歩む道は曲線である。

 

村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」の中に、こういう文章がある。

「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っている事は分かるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。」

 

ドーキンスが「盲目の時計職人」で言っているように、進化に意味はない。無目的に、淘汰が何度も累積された結果が、人間である。では、人生に意味はないのであろうか。

 

ペンローズの提唱する共形サイクリック宇宙論( conformal cyclic cosmology:CCC) では、宇宙は無限のイーオンが無限に繰り返されているという。

エントロピーは増大する。ならば、宇宙の最初期のエントロピーは極小だったはずだ。ではビッグバンやインフレーションにおけるエントロピーも極小だったのか?宇宙の最後ではエントロピーが極大になるはずだが、それはいったいどうなるのか。

ペンローズの説では、宇宙がこのまま膨張し、希薄になれば、そこに残るのは質量のない光子だけとなる。質量がなければ、時間の経過も距離も測定できなくなる。そこに残るのは「共形構造」だけだ。共形というと良くわからないが、「相似」のようなものである。つまり線と線のなす角度だけが、存在する情報となる。

そしてこの共形時空は、最終的な超曲面の「向こう側」まで拡張できる。このとき、粒子がそちらに(未来方向に)行くことが可能となる。前のイーオンと次のイーオンは連続し、両者の結合は共形時空構造として完全になめらかとなる。

ゼロだった密度と温度は共形的な「押しつぶし」によって有限値に引き上げられ、そしてビッグバンとなり、共形的な「引き伸ばし」によって無限大の密度と温度が有限値にまで引き下げられる。

エントロピーは増大していくが、宇宙の終末期にはブラックホールの中に多くの情報が詰め込まれ、物質の自由度は特異点に遭遇し、系から失われる。そしてブラックホールはホーキングが証明したように、「蒸発」する。情報が喪失され、宇宙全体の位相空間の体積が激減し、位相空間は収縮する・・

 

共形で情報が次のイーオンに伝達されるということは、永劫回帰も可能なのだろうか。不確定性原理や、ペンローズ自身が「皇帝の新しい心」で言っているように、脳内は量子状態であることから考えると、、

そう、人生は変えられる。運命も変えられる。現世で恵まれなかったとしても、次のイーオンではもしかしたら・・

 

 

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山本義徳|やまもとよしのり(ボディビルダー)プロフィール

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山本義徳(やまもとよしのり)
生年月日:1969年3月25日
血液型:A型
出身地:静岡県

【経歴】
1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
◆著書
・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
・サプリメント百科事典(辰巳出版)
・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
など30冊以上

◆指導実績
・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

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