ビッグデータがもたらした勝利
今日になって度々目にするニュースが、イギリスのEU離脱に関するもの。この離脱のことをブレグジットと言い、今年になってイギリス政界を激しく揺さぶっている。
首相のメイさんは、どうにかして国民投票で多数をとった離脱を実行しようとしている。ところがいまになって議会に反対派が増え、合意なき離脱を実施するかどうかが注目されている。
二転三転しているけれど、今日になって10月まで離脱を延期することが正式に決まった。それまで話し合いを続けるということだろう。何十年も前にスプーン曲げで話題になったユリ・ゲラーまで登場してきて、超能力で離脱を阻止すると言い出すようなことになっているw
そんなブレグジットについて、とてもよく理解できるテレビ映画を観た。
『ブレグジット EU離脱』(原題:Brexit: The Uncivil War)という2019年の1月にイギリスで放送されたばかりのテレビ映画。イギリスが大騒ぎになっているということで、急遽日本で放送された。
2016年に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票の裏側が描かれた作品。ものすごくテンポ感の早いドラマで、最高に面白かった。あの当時のイギリスで何が起きていたか、そしてなぜEU離脱が議論されたのかよくわかる。
主演はベネディクト・カンバーバッチで、EU離脱派の選挙参謀をしていたドミニクを演じている。ほぼ実話に基づいて作られているそうなので、当時の緊迫感がビンビンに伝わってくる作品だった。
このドミニクというキャラが最高で、天才的な発想を持っているがゆえに、常軌を逸しているところもある。ベネディクト・カンバーバッチの演技力がなければ、表現できなかった人物だと思う。
EU残留派は古い発想でしか選挙を進めていない。少し調べてみたけれど、イギリスの中・上流層は保守党、そして労働者は労働党という二大政党が政治を運営してきた。だから残留派はそうした支持層に合わせて従来どおりの選挙戦を展開した。
ところがドミニクはちがう。ネットを駆使することで、まったくちがう層をターゲットにする。若手が経営するIT会社を味方に取り込んで、SNSで収集したビッグデータを選挙戦のメインにした。するとそれまでターゲットにされていなかった層が浮かびあがる。
貧富の格差が二極化することで、見捨てられた貧困層があった。その層を徹底的に攻めた。経済や移民制度が争点になるなか、現状の生活に不満を抱いている人たちの票集めに成功している。それで離脱派が最終的に勝利することになった。
映画のエンドロールに出てきたけれど、アメリカのトランプ大統領が選挙のときに同じ手法を使ったらしい。
そういえば先日の大阪ダブル選挙。従来の調査方法だと、圧倒的に反維新が有利だった。ところがネット民の動向がその調査に含まれていなかった。だから選挙が終わって蓋をあけると、圧倒的な強さで維新が勝利している。いまや従来の民意調査はまったく実態を反映していないということだろう。
それにしてもブレグジットはどうなるのだろう? いまや世界はひとつだから、イギリスの動向が気になるところ。とにかくこの映画を観ることができて、少しはイギリスの現状が理解できたように思う。
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