悪女の一人舞台
物語のキャラとして悪女という存在は魅力的。特に見た目たが清楚な悪女ほど、ドラマを盛り上げる効果がある。
ボクにとって最強の悪女は、『ゴーンガール』のエイミーだろう。小説のエイミーも怖かったけれど、映画でエイミーを演じたロザムンド・パイクの悪女っぷりも最高だった。
だけどエイミーを凌駕する悪女を発見したかもしれない。その名はキミー。
『特捜部Q〜キジ殺し〜』ユッシ・エーズラ・オールスン著という本。デンマークの小説で、世界的なベストセラーになった『特捜部Qシリーズ』の2作目。閉館していた図書館が再開されたことで、楽しみにしていた第二弾をようやく読むことができた。
『ミレニアム』というベストセラーを書いたスティーグ・ラーソンというスウェーデンの作家がいる。北欧出身の作家としては、ユッシはそれ以来の大作家として注目されている。ボクもその意見に同意する。
第一弾は最初に映画を観た。そしてあまりに面白かったので、原作を読んでさらにハマった。『特捜部Q』といのはコールドケース、つまり未解決事件を扱う部署。といってもメンバーは二人しかないない。
主人公のカールは、ある事件で部下を死なせ、もう一人の部下は半身不随となった。それがきっかけで新しい部署に追いやられた。成果を期待されていない左遷の場所だった。付けられたアシスタントは、正体不明のシリア人であるアサドだけ。
ところが第1作では自殺だと思われていた女性議員の拉致を発見して、見事に事件を解決している。その功績が認められて本格的な部署として未解決事件を追っている。この第2作からは、ローセというわけあり女性アシスタントも加わった。この3人組の大活躍で事件の解明が進む。
18歳と17歳の兄と妹が20年前に殺された事件から始まる。犯人は自首していて、すでに刑務所に入っていた。ところが正体不明の人物から資料が提出され、まだ他にも犯人がいることをほのめかされる。
カールたちが捜査を始めると、デンマークのいまを支えているセレブたちの名前があがってきた。病院の経営者であり、ファッションデザイナーであり、株式のディーラーとして大金を稼いでいる人物たち。それは男性5人、女性1人のグループだった。
男性5人のうち一人は自首して刑務所、もう一人は猟銃の事故で死んでいる。そして紅一点の女性はホームレスとなって行方不明。カールはそのホームレスの女性が事件の鍵を握っていると直感する。
かなりの長編なので気になる人はぜひ原作を。とにかく結論から言うと、この6人はとんでもないクソ連中だった。寄宿舎制学校の同級生で、全員がサディストで悪魔のような人間だった。最初は兄妹の殺人事件からスタートしたけれど、最終的に大勢の被害者がいる連続殺人事件だったとわかる。
ただこの6人のうちで、実際に殺人を犯していたのは女性のキミーだけ。他の5人はターゲットをいたぶるだけで、息の根を止めるのはいつもキミーだった。だけどキミーは妊娠したことで、このグループから離れることを決意する。
それを他の5人は許せなかった。彼女をひどい目にあわせ、子供を流産させてしまう、父親はその連中の誰かなんだけれど。キミーはその復讐のためにホームレスになった。そして5人の命を狙うという展開。
結末から言うと、キミーは復讐を果たす。結局全ての殺人は、ほぼ彼女の一人舞台。そしてカールにすべてを告白すると、自ら命を絶ってしまう。とてつもないラストだった。
ということで第1作とは逆に、次はこの作品の映画を観る予定。ただしこの作品はどこまで映像化できるんだろう?
なぜならかなりエグい。原作どおりに作るとすれば、最低でもR15指定だろう。そのうえかなり込み入った物語なので削るのが難しそう。
ただこのキミー役の女優さんに興味がある。カールとアサドは最初の映画で観ているのでイメージはわかる。でも第2作の成功はキミー役にかかっている。そういう意味では、映画を観るのがかなり楽しみ。
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