某有名ブラック企業に就職して新人研修に行った話22
→某有名ブラック企業に就職して新人研修に行った話21
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翌日、朝食を終えて再び
昼まで研修室で短い座学がありました。
教官「……で、このように下座、上座は状況に応じて――」
ボク（ホント普通の研修だな。
教官も初日みたいに怒鳴り散らしたりしないし……）
昨夜、浜辺で見た光景は一時のものではなく
三日目も同じでした。
ボクはその違和感のほうが気になっていたのですが、
周りの研修生たちは優しくなったその教官の雰囲気に
つられ、すっかり緊張がほぐれていたようでした。
ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ
教官「はい、では。講習はこれで終わりだ。
では最後の研修を体育館で行う。皆速やかに移動するように」
ボク（体育館なんてあったんだ……）
みんなでゾロゾロと廊下を移動し、
施設を出て別棟の建物へ向かいます。
そこは、よくある学校の体育館などと
まったく同じ造りで、普段は学生が
部活の合宿に使っているようでした。
体育館に入ると異様な光景が広がっていました。
体育館の木製フローリングの床に
4～6つほどの1人用の椅子が
円を囲むように配置してあり、それが
いくつかものグループを形成していました。
これが班ごとの位置を表しているのは明らかです。
ベッキー「はーい、みんなどこでもいいから
班ごとに椅子に座ってー！」
研修生たちは互いに顔を見合わせ、
戸惑いつつも指示されたように着席を始めました。
席は中心を各々が見るように
向かい合って並べてあります。
社長「……ﾌﾟｯ」
メガネ「あはは……」
元ヤン「……///」
ボク「えへへ……」
椅子に座ると班の皆と
ちょうど目が合うようになっていて
ボクらは気恥ずかしく思い同時に吹き出しました。
バタン！
ブゥーン………
ベッキーが入口の扉を閉めたと同時に
突然照明が落とされました。
ボク（な、なんだなんだ……！）
カーテンからわずかに光が漏れ、視界は
かろうじて皆のシルエットがわかるくらいです。
♪～～～♪～～～♪
さらに突然、爆音で
音楽が流れ始めました。
ボーカルの入っていないインストの楽曲で
壮大な雰囲気のする曲です。
（後で聞くとB゜zの曲でした）
教官「合宿終了おめでとう」
体育館の前のほうで教官の
そんな声が響いてきました。
一同「……」
みんな一様に、教官の声に
黙って耳を傾けます。
教官「君たちはこの三日間、本当に
本当によくがんばって来た」ｶﾂｶﾂｶﾂ
教官はそう話しながら
ボクらの研修生たちの近くまで歩いてきました。
教官「この三日間、辛いこと、
苦しいことがたくさんあっただろう」ｶﾂｶﾂ
教官「しかし、社会に出ればもっと
辛く、厳しいことばかりだ」ｶﾂｶﾂ
1つ1つの班を労うかのように
教官は辺りを歩き回りながらそう続けます。
教官「だが！ 君たちは
この合宿を耐え抜いた！！」ﾋﾟﾀｯ
教官「この三日間、苦楽を共にした
自分の班のメンバーを見てみろ」
社長「……」
メガネ「……」
元ヤン「……」
ボク「……」
暗闇の中で、班のメンバーたちが
互いを見つめているのがわかりました。
教官「君たちはもう仲間だ」
仲間。
そう言われ、この合宿で過ごして来た
日々が脳裏に蘇ります。
ボク（まるで何ヶ月も
ここにいたみたいに思えるな……）
ボク（なんだかんだいって……
みんなよくがんばったよ……）
教官「この三日間、互いに互いが
不満を感じることも当然あっただろう」
ボク（あはは……あったなぁ……）
教官「合宿の最後に、いまから
それを互いにぶつけあってもらう」
！？
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