江戸時代の裁判記録が気になる
最近ハマっているのが、畠中恵さんが書かれている『まんまこと』シリーズという時代小説。町名主の後継ぎ息子が主人公。町名主とは、奉行所で扱うことのない揉め事を調停する役目を委任された町人。だから庶民的なドラマの宝庫のような職種と言える。
となると凶悪犯罪を扱う奉行所には、それ以上に人間の業の深さを感じさせるようなドラマがいくつもあったはず。ところがそうした江戸時代の裁判記録は関東最震災で消失したと言われていた。
ところが昨日の報道にビックリ! これまで知られていなかった江戸時代の裁判記録が見つかったそう。
見つかったのは最高裁判所の倉庫。どこからどのように引き継がれたのか不明で、最高裁では貴重な資料として来年度をめどに国立公文書館に移管するとのこと。はっきり言えばきちんとチェックされていなかったということで、まだまだ貴重な資料が隠されているのかもしれないね。
新たに見つかったのは「御仕置廉書(おしおきかどがき)」という18冊の冊子で、幕末までのおよそ150年にわたって江戸幕府の奉行所で言い渡された判決が年代や刑罰ごとに記録されているそう。これはなかなか興味深い。
リンク先の記事によると、もっとも刑罰の重い「はりつけ」となった男性については、奉行所は独断で判断せず老中に相談している。最終的な結論を出した老中の名前が記載されていたらしい。
いくつも付箋のようなものが貼られていて、過去の裁判記録をチェックした形跡もあった。つまり判例を確認していたということらしい。できる限り公正な裁判をやろうとしていた奉行所の姿勢がうかがえる。さらに無罪判決ばかりを集めた冊子もあったとのこと。
これから具体的に研究されるのだろうけれど、この裁判記録がとても気になる。最初に書いたように、江戸時代に起きた凶悪事件にまつわるドラマが記された貴重な記録だと思うから。おそらく映画や小説の題材になるような出来事がいくつもあるだろうと想像する。
江戸時代の人たちの暮らしを知るうえでも、とても貴重な史料となるはず。できることなら精査して、その内容が一般公開されることを望む。公的機関による古文書の管理は、思っているより杜撰なことになっているのかも。もしかしたら貴重な文献が日本のどこかにまだ埋もれているかもしれないなぁ。
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