『トップガン』が攻撃されてる
現在、『トップガン マーヴェリック』が公開中。2週目で全世界興行収入700億円を超えて、主演のトム・クルーズの過去記録を更新している。映画館に行かないと後悔するという声を耳にしつつ、ボクはネット配信を待っている。
そんな絶好調の作品に、訴訟騒ぎが起こった。原告は原作の権利を持っている人。もしかしたらヒットしたことの妬み? とも思った。ところがくわしい記事を見るとそうでもないらしい。
リンク先の記事を読んで、訴訟の理由と経緯がわかった。訴訟大国のアメリカらしい訴えで、内容を見ている限り映画会社の旗色は悪そう。この映画の原作となったのはある記事だった。
エフド・ヨナイという人が書いた、米海軍のエリートパイロットらについての記事『Top Guns』が『California』誌に掲載されたのは、1983年4月21日のこと。地味な記事だったけれど人気が出て、映画会社のパラマウントが売れると確信した。そこで映画化権を取得したのが同年の5月18日。めちゃ早い!
著者のヨナイが記事の著作権を登録したのは、半年遅れの10月3日だった。それゆえ問題なく映画は1986年に公開されている。出遅れたことで、原作者のヨナイは利益を喪失してしまった。
ところがアメリカでは35年が経過すれば使用権を取り戻せるという法律があるそう。『トップガン』の続編は計画されていたものの、さまざまな出来事によってなかなか進まない。そうこうしているうちに原作者のヨナイは亡くなってしまう。
ところがヨナイの妻と息子は、続編が動き出しことで35年待ったことによる使用権の停止を申し入れた。2018年の1月に、2020年1月24日をもって使用権を停止することをパラマウントに手紙で通告した。これは法律的に問題ない行動。
そうなるとパラマウントとしては映画の完成を急ぎたい。そこで2018年の後半に撮影を開始した。そして2019年7月に公開する予定だった。ところが映画の完成度を高めるため、さらに時間をかけることになった。それで公開が延期されて、2020年の6月の予定になった。つまり使用権の停止期日が過ぎている。
2020年1月24日までに映画が完成していれば、使用権の停止を排除できるそう。つまり裁判の争点はそこになる。2020年に公開予定だった作品はいつ完成していたのか? パラマウントはその時点で完成していたと主張している。
ところが敏腕弁護士をつけた遺族は、映画の完成が2020年5月8日だったと、具体的な日時を出して裁判を起こしている。おそらく証拠があるのだろう。そんな状況なのに、さらにコロナによって公開時期が今年まで延期された。とにかく何かとトラブルを抱えていた作品だということ。
さてさて、裁判の結果はどうなるんだろう? すでに公開されて多額の収益をあげている。いまさら公開中止ということは難しいだろう。心配なのは公開終了してからのネット配信停止。そうなれば映画館に行った人以外は観られない事になる。
パラマウントとしてもその後の収益を計算しているから、裁判が不利となっても和解へと持っていくだろうと思う。お願いだから、ネット配信が中止なんてことはやめてよねぇ。
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