今日のウィルバーくん 8.1
あなたが「時間」というものを感じるのは、どんな時ですか?
未来を想うことで時間を感じることもあるでしょう。でも時間という概念を占める大きな要素は、過去だと思います。生まれてきてから現在まで生きてきた、その過去の蓄積が時間という概念の基盤になっていると思うのです。では過去の正体とは何でしょうか? それは記憶です。
過去である記憶についてウィルバーがどのように考えているかを見てみましょう。
〜以下抜粋。
したがって、記憶というものがあるために、たとえ過去を直接、体験できなくても、実際の過去がどんなものであったのかがわかるのだと推測できる。しかし、まさにこの点で、わたしたちは致命的と言える間違いをおかすのだ、と神秘化たちは言う。わたしが過去を思い出す時、本当にわかっているのは記憶だけなのだが、しかし、神秘が付け加えるのは、記憶もまた現在の体験である、ということである。アラン・ワッツは次のように言っている。
「記憶とはいったい何だろうか。思い出すことによって、過去のことがわかるのだろうか。では、何かを思い出してもらいたい。例えば町を歩いていて、友達が向こうからやってきた時のことを。何を意識しているだろうか。あなたは、友達が実際に向こうから歩いてくるところを見ているわけではない。あなたは友達のところへ行って握手し、その時の時間を尋ねたりするわけにはいかない。言い換えれば、あなたは実際の過去を見ているわけではないのだ。記憶から、あなたは過去の出来事を推測しているだけなのである。あなたは現在において、現在の一部としてのみ過去を思い出しているのである」
つまり、わたしは決して実際の過去を知ることができない。わたしが知ることができるのは、過去の記憶だけであり、こうした記憶は、ただ現在の経験として、知ることができるのである。過去、実際にこういうことが起きたといっても、それは、そういう「思い出」として「今、起きている」のである。同じようにして、わたしは決して、直接、未来を知ることはできない。それは期待ないし推測してのみ、今、知ることができるだけである。
過去とは記憶であり、未来とは期待ないし推測である。こうして、そのどちらも現在としてあるということ、そしてそのように見るということは、時間とはすべて「今」であると見なすことなのである。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『無境界』より。
とてもわかりやすい文章ですね。時間についてのウィルバーの考えがよく理解できます。
時間の概念の根幹をなすものは、過去と未来です。そして彼が言っているように、過去とは記憶であり、未来とは期待ないし推測です。つまりどちらも現在を通じてしか認識できないものだということです。その意味するところはわかりますね?
過去や未来という時間の概念は幻想です。「今」しか存在しない、ということです。
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