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世界各地から招かれる国際的セラピスト 奥田健次独占インタビュー【前編】
世界各地から招かれる国際的セラピスト 奥田健次独占インタビュー【前編】
奥田健次(行動分析学者)Xアマゾン
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基本は「前がかり」にすること

パートタイム教授、奥田健次です(´Д`|||)

めっちゃ忙しい。しかし、ちゃんと合間にレジャー込み。おれ、なかなか時間の使い方が上手いやんけ。ただ、体調は悪いっすねえ。足もしびれてるし。ときどき動悸がどきどきするし。合間合間のレジャーではなく「1週間まとめ休み」ってのを目指します、目指したい、目指すべき。

まあ、そんなんで治るならええんやけど、たぶん治らんのちゃうかな。

さて、昨日までの一連の記事。1つ前「阻止の随伴性で行動修正法の間違いを修正する」、2つ前「楽しい輪、痛い輪(行動分析学会、感想編)」

学会での「『罰なき社会』を再考する」を振り返って。

「体罰」という暴力を徹底的に排除する分、効果的な「懲戒のシステム」を明らかにしていかないといけないでしょ、ということを述べてきた。だって、児童生徒のほうが個人または集団で教師に暴力などの行為をしてきた場合に、為す術は何なの?

これは単に「さっさと懲戒しろ!」という乱暴な考えとも相容れない。システムやテクノロジーがないとね、次のようになる。

生徒が担任を侮辱した。教室の外へ出した。生徒は担任の「立っていなさい」と言われた場所から、わざと少し離れたところに腰掛けた。気づいた担任は、もう一度注意した。生徒は「ちっ」と舌を鳴らして、聞こえるか聞こえないかくらいの声で何やら担任をまた侮辱(または脅迫)した。ムカついた担任は、生徒の腕をつかんだ。生徒に胸ぐらを掴まれた。暴行ということで、学校としての懲戒。無期停学(自主退学)。

このジャンプアップ度合いってどうよ。学校がやる懲戒がいかんということじゃなくて、これはこれでええねんけどさ。もうちょっと間に階段を用意しておけないもんかってこと。

スポーツで考えてみたら、多くの場合は「審判を侮辱した→その場で退場→罰金→(内心では納得していないが)それに応じる」で終わり。

ところが、「審判を侮辱した→その場で退場→罰金→応じるがメディアでさらなる侮辱をする→さらなる厳重注意と罰金→厳重注意をしてきた人にも侮辱→所属球団を通しての厳重注意と謹慎と罰金→さらに侮辱行為→永久謹慎(追放)」といった感じで、どこかで矛を収めないと職を失うでしょうに。

プロレスっぽい人もいるからね。「絶対に誰にも謝らない」という態度を取るのも別にええやん。それで職を失うのも本人の選択した結果ですから。

こういう階段が用意されていないと「侮辱→侮辱→(暴力がでてしまって)永久追放」で終わりやん。どこか途中で矛を収めるチャンスがもう少しあってもええんちゃうの。ってか、それでどれくらいの子が追い出されなくて済むのか、研究によってまだ明らかにされてないのが問題やね。懲戒のシステムもテクノロジーもないから、やみくもに最後の手段に近い厳しい懲戒を早い段階で行使してしまう可能性がある。

まあ、そういうことを強調したかったのです。

でも、実際の臨床や教育実践の現場では、「好子(こうし)があふれる集団・場」というのを作っておくことが、すべてにおいて大前提のこと。そういう場があるからこそ、「好子消失」「好子出現阻止」に効き目が出て来そうってなもんや三度笠。

島宗先生とのディスカッションの中で、「あ、これは自閉症の子の場合は技術的には簡単です! でも、発達障害でない定型発達の子の場合は・・・、うーん、よく分かりませんね」と答えました。それだけ、定型発達の子の子育てってのは、ある意味むずかしいってことです。面白いですね。おれにとったら、定型発達の子のほうが難しいっていう。普段から言ってる通りですが、このシンポジウムで余計にそれを実感できました。今の時点で答えられることは、上述の通り「好子があふれる集団・場」というのを作っておきましょう、というレベルのことしか言えません。もうちょっと考えてみます。

ところで、まだ動機は分かってないみたいやけど、先日ようやく逮捕された山口県の限界集落で放火殺人連続容疑者。ああいう高齢者中心の限界集落で、一体どういう社会的な随伴性があったんやろうね。んで、容疑者の生育歴などに、どういった特徴があったんでしょうかね。かなり特徴的な随伴性、過去の経験(重ねてきた随伴性)などがあるんだろうと思います。特徴的だとしても、こういう残忍な事件につながる部分については「さもありなん」ってな具合に、特段の驚きはないでしょう(行動の原理上のことを言ってます)。何にしても、起こるべくして起こった事件。

話を戻します。

好子を剥奪しすぎると、これまた副作用が出てくる。

そういうことが分かっているので、シンポジウムで少しだけ紹介したように「好子から遠ざける方法」も詳細なチェック項目リストがたくさん開発されています。タイムアウトは何分くらいが良いのか。タイムインのタイミングや状況。こういうことも知識と技能と第三者の目がないと、うまくいかない場合に嫌子(けんし)を与える人が出て来るでしょう。

シンポジウムの話題提供でも話したように、アイスホッケーのルールが分かりやすいんです。少しでもリンクの上で、味方と一緒に闘いたい。そういう「前へ、前へ」の前がかり的な姿勢があるわけです。そういう選手にとったら、反則したために2分間とか、ブースに退場させられるってのは嫌でしょ。きっと「早く仲間のところに戻らせろ、戻らせろ!」という心境で、戦況を見つめているはずです。

それだけ、仲間とプレーをすることは強い好子なんだろうと。

同じように、地域社会の中でうまく生きていくためには「参加したい、一緒にいたい」という前がかりな姿勢があったほうがいいじゃないですか。

「参加したい、一緒にいたい」というのがないのに、あれこれ小技を使って参加させようとしたって、あまり効果があるとは思えませんからね。根本的な部分で「参加したい、一緒にいたい」という姿勢を作っておくのが、良い教育なんだろうね。

犬の世界だって、しばき回されるのが怖いからコマンドに従うのか、それとも「飼い主の動きに合わせてみたら、なんだか楽しくてたまりませんがな!」という文脈で共に生きるか。人間でも「楽しくてたまりませんがな!」のほうを選びたいやん。

ま、おれは大学を退職して学校づくり。これは現実問題として大変なことは多々ありますが、基本は「楽しくてたまりませんがな!」です。大学でフルタイム勤務していたときにも、部分的には「楽しくてたまりませんがな!」ってのは、めっちゃ熱心な学生を相手にしているとありましたけどね。

言われてではなくて、「前へ、前へ」と、そういうふうにできる教育を。

奥田健次

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コメント (16件)

  1. 「ねばならない曲線」と「したいからやる曲線」のお話が浮かんできます。

    合宿で先生が何度か口にされた「間違えていいから発言して」というお言葉が、「したいからやる曲線」を生み出す環境づくりの第一歩のような気がします。

    子どもが小さいうちは「間違えてもいいやん」と言ってあげられれば、人生を楽しめる大人に育てられそうな気がします。

  2. 先生、体調いかがですか。
    最近眠れていますか?

    レジャーで切り替えスイッチ入れつつ、身体メンテもしてくださいね。心配です。

    「好子の剥奪」ではなく「好子から遠ざける」。。。。
    そうか!それも段階ですよね。
    「遠ざける」なんて頭になかった。
    鱗ポロです。
    タイムアウトのタイミングや長さ、素人には難しいけど。

    でも「好子あふれる集団や場」を作る事は私でも出来る。
    今、自分に出来ることを地道にやっていこうと思います。

    アイスホッケーの選手、タイムアウト切れの合図にかぶり気味で飛び出していきますもんね!
    「参加したい!プレーしたい!」が強烈な好子なんだろうな。

    「俺にとっては自閉症の子の方が技術的に簡単!」という先生の言葉。
    「難しい」「大変」「あきらめて」そんな中、ひときわキラッと光る星のようです。
    もう!泣いてまうやろ~!!!!

    先生の言葉に支えられてる人が沢山いるように、ここに訪れる方々も直接は何も出来ないけど、先生の事支えたいと思っていると思います。

    お身体大切にしてください。

  3. 先生の真っ直ぐな想いが ものすごく伝わってきます。
    おっしゃっている事も、よくわかります。

    まず私ができる事は 自分が変わること きちんと学んで成長して 未熟な部分を補っていく事
    そうしながら 「前へ前へ」です!!

  4. いつも朝来る更新のお知らせが今回は夜でした
    これだけ丁寧な解説、無料のブログではもったいないくらいの内容です
    先生の誠実なお人柄が伺われます。お疲れ様でした
    私は島宗先生と同年代なので金八先生の腐ったみかん(校内暴力)の頃ちょうど中学生でしたあんな事は二度とあってはいけない
    好子溢れる集団作り、微力ながら頑張っていきたいと思います
    それにしても根っこがこれだけおやさしい先生にはやっぱりとびっきり素直で可愛いらしいお嬢さんを紹介して差し上げたいなあ…
    あ、余計な事を失礼しましたm(__)m

  5. 学会、お疲れ様でした。

    この数日、奥田先生のブログを読み考えていました。

    学校を企業に置換すれば、退学は懲戒免職に値すると思いますが、それは世の中で言えば刑罰のようにも感じます。刑罰は再犯防止や世の中への見せしめ的な効果もある言いますが、若干揶揄しすぎですが、退学という罰は生徒への見せしめなのでしょうか…

    また部活動内での連帯責任と銘打った暴力やトレーニング(腕立て100回!等)、または坊主にする事が、チームや個人の技術の向上や縦・横の協調性の強化に繋がるのか疑問です。

    教育者だけでなく、社会全体に関わる問題だと思いますが、「罰なき社会」を目指し、変えるべきことは変えるよう、一社会人として貢献していきたいです。

  6. まだ足のしびれがあるのですね。

    一週間お休みが取れたらいいのですけど、その一週間がレジャー三昧であればまず治らないと思います。
    できることならその一週間は体のメンテナンスにお使い下さい。

    私も仕事柄、よく足の痺れが起きます。一日中不快ですよね…
    朝が一番ダメで、足の痺れで目が覚め、超イライラしてしまいます。
    その時は脹脛をグーで何度もしごきます。凄く痛いですが、足の痺れは軽減されます。気が向いたらお試しを。

    阻止の随伴性は奥が深くって、随伴性の中でも特に気になっていました。
    相手に考えさせて選ばせる、というところに魅力を感じます。

    気になっているからうまく使えているかといえば話は別ですが。
    その前にもっと理解を深めねば。

    ブログでの先生の説明、ほんとにありがたいです。

    今手を合わせて念仏のように唱えています…ありがたや~ではないですよ。もっともっともっと!です。

    図々しい性格です、テヘッ。

  7. 奥田先生、こんばんは。

    教師に対する懲戒の仕方はいくつか段階があると思うのですが・・・生徒には退学の前段階だと停学くらいですよね。停学も効果あるのかな。私が通っていた高校では停学はめずらしくて、男子には勲章みたいな感じでした。

    アイスホッケーのルールは知らなかったです。退場になっても同じゲームに戻るチャンスがあるのですね。目の前にある強烈な好子ですね。

    夏休み中、兄弟喧嘩が絶えません。
    トラブルメーカーは長男かと思います。
    低年齢のうちに何とかしたいと思っていますが、今は暴力したら相手に謝る、暴力しなかったら褒めることしかできていません。長男は暴力を我慢しようとする時もありますが、次男はおかまいなし。長女も長男に腹が立つと私の見ていないところで小突いています・・・それぞれ暴力したら回数をカウントして張り出そうと思います。ルールを決めたいのですが、年齢差があるのでどうしたらいいのか。タイムアウトは素人がしない方がいいんですよね。うーん。
    好子あふれる場・・・家庭もですよね。
    心に留めておきます。

    足のしびれと動悸って。お願いですから病院行ってちゃんと検査受けて下さい(泣)

  8. 先生、こんばんは(^^)

    この2日間、先生のブログや皆さんのコメントを拝見し、行動分析学、超ド素人の私にとって、頭がちんぷんかんぷん状態(^^;)
    今までおちゃらけたコメントを送ってたのが恥ずかしく思い、もうコメントを送るのはやめようと思っていたのですが、今日の先生のブログを拝見し、子どもたちの為に(子どもたちだけでは無いのかもしれませんが)これだけ先生方が色々と考えてくださっているんだと感動し、コメントしてしまいました(^^;)

    「好子があふれる集団、場」が大前提。
    素敵な事だなと(*^^*)
    この大前提を築くのがなかなか難しいのかなと…

    何事も何か一つは「楽しい!!」と思えたら頑張れそうですよねo(^-^)o

    言われなくても「前へ前へ」
    自分も子どもたちにそういう教育ができるよう精進していきたいです(^^;)

    学会が始まってからのブログと皆さんのコメントを拝見し、改めて行動分析学の奥の深さを知りました。
    行動分析学をかじって知ったかぶりをされる事を先生が嫌うのも良くわかります。
    この学問は(他もそうかもしれませんが)一生勉強とおっしゃられるのが、超ド素人ながら良くわかります。

    超ド素人ながら、今日のブログはとてもわかりやすかったです(*^^*)

    休みをとっても体調は治らないのかもしれませんが( >_<)それでも、それでももう少し休めるよう、多忙かとは思いますが、お身体ほんと大切にして下さいね(^^)

    私が小学生の時、友達から聞いておおっ!!と思ったギャグを一つ

    猫がロンドンで寝ころんどん

    なんて(^^;)堅苦しいのがどうも苦手な私です(^^;)失礼しました(^^;)

  9. こんばんは。
    山口連続放火事件の容疑者の飼犬が保護されていたけれど、逮捕とほぼ同時刻に心臓発作で亡くなっています。不思議です。
    この世の中不思議なこと、不可解なことたくさんあります。
    犬は何を思っていたのかな。
    話せない犬。
    人間は言葉をもっているけどそれをうまく使えない人もいる。でも犬じゃないから話すことが当たり前と思っている受け取り側。人間に言葉かなかったらどうなっていたんだろぅ。

    先生の夏休みが取れますように!

  10. 学校の先生も、親も子供達にこの人チョットちゃうよな〜、本物やなー!と思わせる技がないといかんのだ!とつくづく身にしみます!

    子供達を社会に送り出す為に親も技がないと…間違いだらけの子育てをしてしまい、居ない方が良いくらいのダメ親になり下がり…

    立場、年齢様々なれど学ぶ姿勢は死ぬまで持ち続けないと幸せにはなれないですね。

    定型発達の子にはよくわからないけど…と言う先生のお言葉に障害を持つ子供の親はめっさ希望が満ち溢れ前向きな子育てが出来ます!ってなもんや三度笠!


    本物の先生にはご自分のお身体を十分ご自愛して頂いてたくさんの迷える子羊達を正き道へお導き下さい。

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奥田健次(行動分析学者)プロフィール

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奥田健次(おくだけんじ)
身長・体重 174cm・63㎏
生年月日 1972年1月20日
血液型 B型
出身地 兵庫県

プロフィール詳細

このブログの更新情報が届きます。

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http://www.diamondblog.jp/kenjiokuda/

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