SOLA TODAY Vol.116
完全自動運転の自動車が実用化された場合、最大のメリットは交通事故の減少だと思います。高齢者ドライバーの運転ミスや、急な発病による死亡事故は確実に減るはずです。ところがそんなメリットに水をさすような、自動車業界を悩ませている調査結果が公表されています。
もし完全自動運車が普及すれば、自動車大国のアメリカでさえ所有割合が43%減少するだろうと報告されています。日本ならばさらにその割合が高くなるのではないでしょうか?
その根拠となるのが自動運転車のシェアです。無人の自動車が走り回っていて、スマホで呼び出せばGPSを使ってその位置まで迎えに来てくれます。あらかじめ目的地を入力しておけば、黙っていてもそこへ運んでくれます。支払いはアプリでカード登録しているので現金は必要ありません。
これと同じことは、すでにウーバーがやっています。違うのはドライバーがいるかどうかだけです。必要な時にいつでも気軽に自動車を使えるので、公共交通機関が発達している都会では車を所有する必要性がなくなってきます。自家用車は、「所有」という願望を満たしたい人だけが持つようになるでしょう。
だったら車が売れなくなるのでは? メーカーがそう思うのは当然です。でもそうではない、と述べている記事を読みました。
「マイカー所有」時代の終焉:自動車メーカーはどこへ向かうのか
自動車メーカーを支えている自動車の保有の現状は、非常に無駄が多いものです。この記事によると、自家用車を所有している期間を平均すると1台あたり10〜15年ですが、その95%が駐車に費やされているとのこと。実際に運転している時間などほんの一部で、ほとんどは車庫に置かれたままだということです。
考えてみれば想像がつきますよね。普段は電車で通勤している人なら、週末しか自家用車を運転しないでしょう。それも24時間運転を続けているわけではありません。食事もするし、睡眠も必要です。旅行に出かける場合でなければ、せいぜい2〜3時間くらいしか運転していないと思います。
でも自動運転のタクシー等が普及すれば、ただ駐車しているだけの車は無くなってきます。自動車は動ける限りフルに活動することになります。タクシーという業態だけでなく、シェア的な自動運転車も普及するでしょう。そうすればレンタカー感覚で旅行にも使用できます。
特に高齢者や、15歳以下の運転免許を取れない世代の自動車利用も増えるだろうと見込まれています。そうするとフルに車を使うことになりますから、走行距離が伸びて、車の寿命が短くなります。だからメーカーはそれほど困らないという理屈です。
自動車販売のターゲットを個人ではなく、タクシーやシェアサービスの業界にシフトすることで、自動車業界は新しいビジネスチャンスを見つけていけるだろうと述べられています。
いいですよねぇ。個人的には理想的な世界観です。無駄な自家用車が減るだけで道路は空きますし、マンションや市街地の駐車場がいらなくなってきます。そうしたスペースを他のことに有効活用できそうです。
車が運転できないので引きこもりがちだった高齢者の方でも、気軽に外出することが可能になります。完全自動運転のシェアカーを利用すれば、気兼ねなく遊びに行けます。乗合バス的な大型車もサービスとして登場するでしょう。
そして人の動きが活発になれば、それだけお金も使います。経済的にもメリットが高いように思います。イノベーションというものは、そうした新しい世界を引き寄せるものであることが必要です。完全自動運転の普及は、ただ交通事故が減るというだけでなく、経済的にも好影響を及ぼすだろうと思います。
もちろん地方の交通事情を改善する必要はありますね。神戸のような都会でしたら、公共交通機関が発達しているので自家用車を手放すことは可能です。そのあたりの格差を是正していかないと、本格的なシェアの時代には至らないかもしれませんね。とても面白い記事でした。
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