銀行の淘汰が始まる予感
管首相が就任してすぐ、地方銀行の統廃合について述べた。つまり地銀や信用金庫が多すぎるということ。
これは決して遠い未来の話ではなく、すでに進行中のこと。世界的にキャッシュレス化が進み、暗号通貨等の新しい決済システムが登場してきた。先日もPayPalが暗号通過の利用を明言したことで、ビットコインを初めイーサリアム等も大きく値段を上げている。
つまり顧客にお金を貸して利ざやで収入を得るという、これまでの銀行の収益構造が崩壊しつつあるということ。そのことを理解している大手の都銀は、着々と新しい体制を整えつつある。だけど地銀はどうだろう?
おそらくいまになっても地方銀行や信用金庫の多くは、都銀が見向きもしない中小企業の融資に収益依存していると思う。そんな古い体質を変革しないと、コロナ禍による急激な不況によって、中小企業と一緒に地銀は共倒れしてしまうだろう。
管首相が発言した意図は、そうした破綻を地銀再編によって少しでも抑制しようとしたものだと思う。そんな危機が目の前であることは、先端を走る都銀の動きを見ているとわかる。
三井住友銀行は全店舗の7割にあたる国内300店舗の窓口において、2022年度までに現金の受け渡しを廃止すると発表した。いままでの銀行のイメージを根本的にくつがえす前向きな変革だと思う。
窓口で現金のやり取りをしている限り、店舗に多額の現金が必要になる。そのうえ対応する職員も必要となるので人件費もかかる。だけど現金の受け渡しを廃止して資産運用相談の窓口にするだけで、大幅なコストカットになる。
現金が必要な人や税金等の振込に関しては、高機能のATMを配備していくとのこと。そのメンテや対応も専門会社に委ねることで、職員の手間と人件費をカットしていく方針のよう。
この決定は素晴らしいと思うし、むしろ遅すぎるくらいかもしれない。ここまで思い切った体制変革をとっていかないと、これからの銀行は生き残っていけないんだと思う。おそらく他の都銀も追随することになるだろう。
そのうち正月のお年玉も、祖父母と孫のスマートフォンで決済するようになるかもね。街頭募金なんかも、QRコードを用意したほうがいいように思う。
ボクがちょっと心配しているのは京都の祇園町の芸舞妓さんたち。ボクが在職中、芸舞妓さんのお花代は毎月事務所が立替払いをしていた。毎月3千万円前後の現金(紙幣は全て新券)を、ボクが一人で仕分けしていた。
いまはどうなっているかわからないけれど、まだ現金支給をしていたら困ったことになるかも。年配の芸妓さんは現金のほうが助かるだろうけれど、もう振込にする時代になったんだと思う。とっくの昔にそうなっていたらいいんだけれどね。
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