なぜ人は夢を見るのか?
明晰夢を含めて、ボクは睡眠中に数え切れないほど夢を見る。そして長年の習性のせいか、そのほとんどを記憶している。以前は紙とペンを手元に置いてメモをしていた。それがスマートフォンになり、やがてメモなしでも夢の内容を覚えていられるようになった。
夢の世界は異様で不可思議。恐ろしくもあり、楽しくもあり、そして美しくもある。自覚しながら夢を体験する明晰夢であっても、展開される世界は起床時の常識や物理法則に影響されない。とにかく荒唐無稽な世界が夢というもの。
だがなぜ人は夢を見るのか? その問いについて研究されているけれど、まだ明確になっていない。そんな夢を見る理由について、新しい仮説が提唱されている。
夢を見る理由については、さまざまな仮説が出されている。有力なのが「現実の出来事を予測するため」というもの。動物的な本能として、現実世界における心理的な準備をしているという仮説。
だけどそれだけでは説明がつかない。とにかく夢の世界は自由すぎる。故人は生きている人として普通に登場するし、時系列もむちゃくちゃ。小学校卒業以来会っていない友人が、社会人になってからの職場にいたりするのが夢の世界。
そんな不可思議な夢の世界について、新しい仮説が出された。コンピュータに学習させる機械学習から導き出された仮説とのこと。コンピュータに過剰なデータを学習させると、本来学習するべきデータと無関係な特徴を学んでしまう。それを「過剰適合」と呼ぶそう。
その過剰適合を解消するのにもっとも適した方法が、データの一部をランダムに無視させるというもの。前後の辻褄が合わないとしても、特定のデータを無視させることで適正な学習が進むことがわかっている。それによってこれまで見たことのないデータにも適合していく可能性が発見されているそう。
これを人間の脳に当てはめてみると、夢のとっぴな内容が理解できる。大量の情報を受け取ることで過剰適合になるのを防ぐため、人間は夢を見ているのではという仮説がリンク先の記事に紹介されている。
だから夢の世界はぶっ飛んでいるのかもね。コンピュータは人間の脳を模して作られたといわれている。だったら同じ現象が起きても不思議じゃない。夢を見る理由としては、とても説得力のある仮説だと思う、
ただ夢を見る理由というものは、もっと多く、そして複雑なものがあると感じている。これはボクの経験から思うこと。ボク自身も予知夢を経験したことがあるし、夢によって世界的な発明や発見がなされたこともある。音楽史に残るような名曲も、夢で聞いたメロディを曲にしたと証言している作曲家もいる。
ボクが直感的に感じている夢の理由を一言で説明すると、『解放』という言葉に象徴される。
日常生活を営んでいる人間は、さまざまな制約を自分に課している。それは法律やルールというものであったり、個人的な経験によるトラウマによるものもあるだろう。やってはいけない、言ってはいけない、思ってはいけない、というものをうんざりするほど人間は抱えている。
だけど夢を見ているとき、自我の制約が少しゆるむことで、人間の意識が「解放」されるような気がする。つまり普段の自分が知らない、別の自分に会うことができる。もちろんそれはいいことばかりじゃない。残酷な面を見ることもあるだろう。
それらの抑圧されている自分を夢で知ることで、いいものは取り入れ、ネガティブなものは昇華させる。そのために夢が存在しているように思う。つまり夢というものは、自我の呪縛から「開放」されるためのものだと思っている。
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