規則とはいえモヤモヤするなぁ
良識のある人間なら、規則を守るのは当然のこと。日曜日に当選を決めたばかりの都議会議員が、選挙の2日前に無免許運転で人身事故を起こしていた。法律を決める立場の人間として、これは絶対に許されない行為。すでに所属している党を除名されているけれど、議員としての資質も問われることになるだろう。
だからといって、規則や法律は絶対的なものではない。時代に応じて過去のルールを見直す必要は出てくる。ただし人間というのは変化を避けたがる傾向が強いから、陳腐化した法律が中途半端なままで放置されてしまうことがある。そうなると時代に適合しないルールによって縛られてしまうことになる。
まさにそんな事例だといっていい出来事がアメリカで起きている。
大麻使用でのオリンピック出場禁止は「時代遅れ」?アスリートからも批判の声上がる
大きく報道されたから知っている人は多いだろう。陸上女子100メートルで東京オリンピックに出場が決まっていたシャカリ・リチャードソン選手が、大麻の陽性反応が出たことでアメリカ陸連から代表の取り消し処分を受けた。
リチャードソン選手は大麻の使用を認めていて、陸連の決定に異論を唱えているわけじゃない。ルールはルールとして、その処分を受け入れている。ただアメリカにおける大麻の扱いを考慮した場合、この決定に納得できないアメリカ人が騒いでいる。
アメリカは18の州とワシントンD.C.で嗜好大麻の使用が認められていて、リチャードソン選手が大麻を使ったオレゴン州でも問題ない。先ほどの無免許運転とちがって、彼女は法律に反することはやっていない。ただアメリカ陸連の規則に合致しないということだけ。
そのうえ彼女が大麻を使った理由が同情を集めている。今年の6月に母親を亡くしたことで、精神的に追い詰められ大麻を使用したとのこと。1週間後にオリンピックの予選が控えていたから、試合へのモチベーションを維持するためだったんだろう。
この大麻というのは、本当に厄介だよね。日本はまだ大麻に関して寛容ではないので、スポーツ選手であろうと芸能人であろうと、それぞれの世界から追放されてしまう。だけど世界に目を向けると、日本はやり過ぎだと感じる人が多いのが現実。
リンク先の記事で、この出来事に関してコメントしている著名人の言葉がわかりやすい。アメリカの陸連が大麻をドーピング対象にしている意味がわからない。もし大麻を使うことで早く走れるなら、自分はいまごろ世界記録を出している、というような発言だった。要するにアメリカ陸連の規則に根拠がないということ。
スポーツというのはルールで成り立っている。どんな競技でもルールがあって、その範囲内で選手たちは競い合う。それゆえ陸連の決定を受け入れたリチャードソン選手は、スポーツマンシップを発揮したということ。ルールはルールだから。そんな彼女をボクは素晴らしいと思う。
だけどなんかモヤモヤするなぁ。おそらくこれを機会にルールの見直しが検討されるだろう。だけど現役の選手にとっては、『今』という時間しかない。4年先のことなんてわからない。そう思うと、とても複雑な気分になってしまう。
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