SOLA TODAY Vol.123
ブラックな仕事は存在します。昨日のブログでブラック企業という概念について、疑問に感じるわたしの考えを書きました。かといってブラック企業がないとは思っていません。その代表となるような仕事が運送業だと思います。
ある長距離ドライバーの仕事に密着取材したルポです。この記事を読んで、ドライバーの仕事がどれほど過酷なものか思い知りました。
まずは積み込みから大変です。東京の湾岸沿いの物流倉庫でひたすら時間待ちです。自分の積み込み時間が来るまで、道路に駐車して待機していなければいけません。夕食はコンビニで買った小さなお弁当とインスタントの味噌汁。
お腹いっぱいになると、深夜の運転が眠くるなるからとのこと。そして荷物を積み込むのは真冬でも汗をかくほどの重労働です。機械積みの場合はまだしも、手積みの商品の場合腰を痛めることもあるそうです。長い時は積み込みだけで2時間かかることもあります。
午後9時半になって大阪までの運転がスタートします。東京から名古屋、そして大阪という長距離を週3回往復します。月曜日の夜に東京を出て、火曜日の早朝に大阪に到着。そこから睡眠をとって火曜日の夜に大阪を出て、水曜日の早朝に東京へ着きます。
その日の夜には東京を出発して、戻って来るのは日曜日の早朝。そこから月曜日の夕方までが休日です。走行距離は月に1万5千キロ。普段はお酒を飲む時間がまったく取れないので、日曜日の昼から行きつけの居酒屋で焼酎を飲むことが休日の楽しみだそうです。
これはかなりきつい。運転することがが好きなわたしですが、こんな生活はとてもじゃないけれど無理です。バブルの頃ならば、それでも年収が1000万を超えたそうです。ところが今はこの記事のドライバーでも年収500万円くらい。厳しいのに儲からない仕事になってしまいました。
さらにドライバーの高齢化が進んでいて、若い世代が極端に減っています。週に2日自宅に戻れるかどうかの生活ですから、家族がある人たちには敬遠されます。だからますます実働しているドライバーに負担がかかるという悪循環です。
わたしたち消費者は便利な時代になりました。午後7時にAmazonでポチッとすると、翌日の午後には商品を手にしている便利さです。それも配送料無料です。そんな便利な生活の裏側で、配達するドライバーたちは眠い目をこすりながらハンドルを握っているという現状です。
しんどいのにお金にならない。まさしくブラックな職種だと思います。このようなブラックな仕事の未来は、どのようになっていくのでしょうか?
ブラックになる最大の要因は、少ない賃金でも働く人がいるということです。競争が厳しい運送業ですから、経営者として人件費を抑えたい。これしか出せないよと言われた時、断れば他のドライバーに仕事を奪われることになります。
辛いし賃金が少ないのに、それでもやる人がいる限りブラックからは抜けられません。コンビニのバイト等がいい例です。日本人の若者がやらない仕事を、外国人の方たちがやってしまいます。だから賃金は上がらず、ますますブラック化します。
でも今の日本は外国の人にとって稼げなくなってきました。日本で働くより、シンガポールで仕事を捜すほうが発展途上国の人たちは高収入を得ることができます。日本というのは経済が成熟してしまい、稼げない国になりつつあります。安い賃金の労働力の確保に苦労する時代です。
だからといって運送業の経営者はドライバーの質を落とすことができません。高齢化するドライバーの次の世代が育ってこなければ、どうすればいいのか?
今すぐではありませんが、到達する答えは自動運転車だと思います。人間を雇っている限り、昨日のブログで書いたように労働基準法の制約を受けます。それを遵守するためには、ドライバーの負担を軽減するため余分に人を雇う必要があります。
そんな人件費をかけるくらいなら、機械に任せてもいいじゃないか。経営者たちの発想は少しずつそう変化していくのではないでしょうか? 事実コンビニのような店舗は無人化が加速しています。Amazonなどは無人店舗の運営をすでに開始していますからね。
結局はブラック化が進む企業を中心にして、人間はAI等に仕事を奪われていくような気がします。機械にできる部分は任せよう。そういう発想に落ち着くと思います。将来は医療の分野でさえ、仕事を失う人が出てくるでしょう。
でも悪いことだとは思っていません。むしろそうしていくべきだと感じます。辛い仕事を我慢して続けなくてはいけない社会が、少しずつでも変化していけばいいなぁと思います。この記事を読んでそんなことを思いました。
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