SOLA TODAY Vol.397
ボクが物心ついたころ、日本の自動車メーカーはほぼ特定の会社に独占されていた。
トヨタを筆頭に、ホンダ、日産、ダイハツ、マツダ、三菱、いすゞ等の大会社が、独自開発した乗用車を製造販売していた。それが当然だと思って育ってきたし、大人になって自分が購入する立場になっても、その状況は変わっていなかった。つい最近までは……。
それゆえに自動車産業は下請けを巻き込み肥大化した。車のモデルチェンジはあるとしても、それぞれの会社独自の製造ラインが完成されている。特にガソリンエンジンというのは、そう簡単に作れるものじゃない。多額の設備投資だけでなく、経験を積み重ねたノウハウも必要となる。
だから他業種の参入が難しい業界だった。ところが時代が変わってきた。なぜならガソリンエンジンに終わりが見えてきたから。
イギリスの家電メーカーであるダイソンが、電気自動車の製造販売を発表した。すでにバッテリーの開発進めていて、約3千億円を投資している。2020までの発売を目指しているとのこと。
ダイソンという名前を聞いて、ほとんどの人が思い出すのは掃除機。少なくとも、自動車のイメージを持っている人はいないだろう。だけど数年後には、ダイソンのマークをつけた自動車が走っているかもしれない。
今やアメリカのテスラは電気自動車の最大手としての地位を確立している。さらにGoogleやAppleも、自動運転車の開発を表明している。これまで特定の自動車メーカーしか関わってこなかった自動車の製造に関して、他業種との壁がなくなりつつある。
その最大の理由は、電気自動車がこれからの主流となるからだろう。電気自動車はバッテリーとモーターで走る。ガソリンエンジンの製造のように、多額の設備投資やノウハウを必要としない。ましてや家電メーカーだったら、モーターなんてお手の物だろう。
だからダイソンが自動車を作るのは不思議でもなんでもない。むしろ遅すぎるくらいかも。そしてこれからは驚くような企業が、この業界に参入してくる可能性がある。自動運転車は電気自動車であることが基本なので、まだまだ新しいメーカーの名乗り出る余地がある。
もしかしたら、味の素が薬の業界に参入したように、自動車を作る食品メーカーが出てくるかも。ハウス食品の自動車や、日清食品が作った自動車が街を走っているかもしれない。車なのに美味しそうだけれどw
そして必然的に、従来の自動車メーカーは危機にさらされることになる。自動車を購入する人が、今後増える見込みは少ない、シェアの感覚が普通になりつつあるので、製造の絶対数確保が難しくなるだろう。
そのうえ他業種の参入も予想されるので、ガソリンエンジンにこだわっていると、その会社の未来は厳しい。もしかすると、大手の自動車メーカーが消えていくことになるかも。
このダイソンの自動車業界参入のニュースは、そんな未来を引き寄せるための布石なのかもしれないね。
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