テロの標的が変わりつつある
今日は9月11日。20年前の今日、アメリカで同時多発テロが起きた。20年も経ったことに驚く。だけどあの日のことはいまでもはっきりと覚えている。
京都に住んでいるころで、当時は『ニュースステーション』、いまでは『報道ステーション』という番組を見ていた。突然緊急のニュースが入り、ニューヨークでテロが起きたとの一報。その後はほぼ生中継となり、ツインタワーの一つが崩れ落ちる瞬間をリアルタイムで見た。
とにかくショックで言葉にならなかった。あまりのことに呆然としていて、テレビの前から離れることができなかった。当時のイスラム過激派によるテロの標的はアメリカ。だからすぐにそうした勢力のテロだろうと思った。
そしてその後のブッシュ大統領の決断によって、テロ組織であるアルカイダ撲滅のためにアフガニスタンへ派兵することになった。あれから20年が経ち、ついに今年になってアメリカ軍が完全撤退をした。
もちろん問題が解決したわけではなく、むしろさらなる混乱を生んでいる。バイデン大統領の支持率低下が示しているように、アメリカ国民は今回の対応に関して不満を覚えている人が多いのだろう。今後の展開次第では、バイデン政権の維持が難しくなってくるかもしれない。
ただ今回のアメリカ軍撤退が象徴しているように、イスラム過激派の標的が変化してきている。なんとなくそのことを感じていたけれど、ある記事を読んで実際にそうであることを確信した。
新たな超大国・中国が、アメリカに変わるテロ組織の憎悪の標的に
少し長い記事だけれど、現在のイスラム社会と中国との関係がくわしく書かれている。リンク先の記事以外にも複雑なことがあるだろう。それでも最低限のことは理解できる。
簡潔に書くと、イスラム過激派の標的はアメリカから中国へと変わりつつある。アメリカはアフガニスタンから撤退したことで、以前に比べて憎悪の対象とはなっていないらしい。逆にここ何年かで、中国に対するイスラム諸国の不満が高まっている。
中国人へのテロが多いのはパキスタンらしい。記事から抜粋してみよう。
『数年前から、パキスタンでは中国人や中国の権益が絡む施設に対するテロ攻撃が繰り返されている。パキスタン・タリバン運動(TTP)のようなイスラム過激派や、バルチスタン州やシンド州の分離独立派の犯行とみられる。
この8月20日にも、バルチスタン解放軍(BLA)が南西部グワダルで中国人の乗る車両を攻撃する事件が起きた。BLAは2018年11月に最大都市カラチの中国総領事館を襲撃したことで知られる』
アメリカの撤退と同時に中国政府はタリバンと接触した。そこでどんな密約が交わされたのかはわからない。リンク先の記事の予測によると、中国人へのテロを抑制することが目的だったのではとのこと。アメリカに代わって大規模なテロの標的となることを避けようとしているのかも。
真偽はわからないけれど、かなり説得力のある予測だと思う。いまや過去の歴史遺産のような植民地主義を見せているのは大国は中国だけ。以前はイスラム諸国と同じく発展途上国と見られていたけれど、経済大国としてすでに世界で認知されている。
その勢いで民族弾圧的な行動を見せることで、イスラム圏の人たちから反感を買っているのだろう。ウイグルで迫害を受けているのはイスラム教徒の人たち。タリバンとしは関与しないといっていたけれど、最近ではウイグルでのイスラム教徒迫害に不満を持っている人が増えているらしい。
おそらくいまの中国は、20年前のアメリカのような立場になっているのだろう。中国本土では無理だとしても、中国人をターゲットにしたテロが増えてくるかもしれない。アフガニスタンでは多くの中国人が働いている。ややこしいことにならなければいいな、と本気で心配になる記事だった。
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