シェフから殺し屋まで完璧
著名な俳優さんだとしても、映画のタイトルがちがうだけで同じタイプの役ばかりを演じている人がいる。それはそれですごいことだと思うけれど、ボクはその手の俳優さんはあまり好きじゃない。むしろ俳優個人の個性がぼやけていて、映画によって完全に別人に見える俳優さんが大好き。
そんな女優さんや男優さんの名前をあげたらキリがない。ある映画を観て、主演した俳優さんをそのリストに掲げるべきだと再確認した。
2021年 映画#131
『ザ・ターゲット/陰謀のスプレマシー』(原題: The Expatriate)という2012年のアメリカ、カナダ、ベルギーの合作映画。その別人に見える俳優さんとは、写真のアーロン・エッカート。彼のアクション映画を初めて観たので、やっぱりこの俳優さんはすごいと改めてそう思った。
過去の作品ではシェフ、パイロット、あるいはバットマンの宿敵であるジョーカーが支配する街の地方検事だったりする。とにかくそれぞれの映画で役柄に入り込んでいるので、別人にしか見えない。アーロン・エッカートだということを忘れてしまう。
今回の作品は元CIAの暗殺チームに所属していたベンという人物。娘との生活を取り戻すため、ある告発事件をきっかけに退職した。ベルギーのハルゲート・グループという会社の子会社で防犯装置の開発をしていた。セキュリティの専門家でもあったから。離婚した妻から娘を引き取り二人で暮らしていた。
ところがある日出社すると、会社が消えていた。ビルには何も残っていない。それどころから同僚たちは次々に死体で見つかる。ベンも狙われることになり、娘のエイミーとともに逃亡する。なぜなら手に入れた殺し屋のリストに娘の写真もあったから。
ネタバレすると、その会社はCIAの裏切り者が作ったダミーだった。ハルゲートは武器の横流しをやっていて、その証拠をCIAに握られている。それを取り戻して隠蔽するため、セキュリティの専門家を集めていた。そして目的を果たしたことで、口封じに社員の命を奪ったということ。
その裏切り者はベンと懇意にしていたCIAのアンナ。写真のオルガ・キュリレンコが演じている。美人だけれど、ちょっと影のある悪役をやらせたらうまい女優さんだよね。ということでベンはその陰謀を暴き、かつ人質となった娘を助けるために戦うという物語。
アーロン・エッカートのアクションを見るのが初めてだったので、彼のファンであるボクは大興奮。それだけでこの映画に満点をあげたくなってしまう。細かいことをいえば、アンナという人物のキャラが中途半端だったのが残念。映画としては重要な役なので、もっと細かい設定を背景にしてほしかった。
娘のエイミーは最初から何かやりそうな雰囲気だったので、そのままいい感じで最後まで楽しめたと思う。陰謀に関わった人間も、ベンが一瞬で片付けてしまったのが妙に気持ちよかった。ベンの作戦勝ちというところ。
アーロン・エッカートはまだ50代前半で、還暦が近いトム・クルーズより若い。これからもこんなアクション映画に出演してほしい。できたらトムとの共演で残忍な悪役をやってほしいなぁ。
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