日本人の身長は頭打ちらしい
ボクの身長は172センチ。小学生から中学2年生ころまでは、クラスで背の順に並んでも後のほうだった。ところが高校生になるとどんどん抜かれ、気がつくと半分よりも前のほうになった。もしかしたら中学校3年生からタバコを吸っていたことで成長が止まった? と本気で思ったこともあるwww
ボクがいま暮らしている神戸市の六甲は、神戸大学があるので学生とすれちがうことが多い。横に並ばれると男子学生を見上げることもあるし、女子学生でもボクと並ぶような身長の女性が多い。やっぱり食文化の影響で身長が伸びているのかなと思ったけれど、それは大いなる誤解だった。
日本人の身長が伸びていると感じるのは思い込みで、日本人の平均身長はここ30年くらいは横ばいだという結果が出ている。そしてこの先は、むしろ低くなっていく傾向にあるとのこと。
17歳の平均身長は1994年度で男性が170.9センチ、女性が158.1センチを記録していて、それ以降は完全に横ばい状態になっている。つまり172センチのボクは、若い世代を含めても平均以上だということ。たまたま背の高い大学生を見て、若者全ての身長が高いように思い込んでいただけらしい。
日本人の身長は、歴史の流れに沿って伸びてきたわけではない。リンク先の記事によると、平均身長が最も低かったのは江戸時代。江戸時代の男性の平均身長は157.1センチなのに縄文人は159.1センチだった。さらに弥生人になると161.4センチとさらに高くなっている。
弥生人の背が高いのは、稲作の普及によって栄養事情が良くなったからと考えられている。だから栄養事情と身長には相関関係があるのは事実。でも身長はそれ以外の要因に影響を受けるらしい。これがなかなか興味深い。
江戸時代に身長が低くなったのは、急激な都市化と人口増が原因だとされている。「動物は特定の場所で個体数が増えるとリソースを効率的に分け合うため小型化する傾向がある」からとのこと。
栄養事情に関して言えば、明治以降の日本はその影響で身長が伸びている。記事によると、
『そして近代化で生産性が飛躍的に高まる明治以降、日本人の身長は再び伸び始める。2016年、国際的疫学研究グループ「NCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)」が世界200カ国・地域で1896~1996年の100年間に生まれた人の18歳時点の身長を調べた。日本は男性が14.6センチ、女性は16センチ高くなり、いずれも世界で五指に入る』とのこと。
ところが1994年をピークにして、日本人の身長は横ばいが続いている。そしてさらに低下することが予測されている。伸び悩んでいるのは外国でも同じで、経済がある程度成長した国家では身長の伸びが停止している。これは興味深い結果なので、医学的にも、そして社会学的にも要因分析をしてほしいところ。
日本の場合は1980年ごろから妊娠中毒症予防のため、妊婦の体重を減らすという指導がなされている。それゆえ胎児の栄養状態に影響して、身長が低くなっているのではという説がある。ただ、もっと根本的な理由を述べている人もいる。
『日本人約19万人のゲノム(全遺伝情報)解析の結果、身長を高くする遺伝子変異が淘汰されていた可能性があるというのだ』
すでに遺伝子レベルで身長の伸びにストップがかかっている可能性がある。なぜ、なぜ?
理由はまだ解明されていないけれど、人類学的にとても興味深い仮説だと思う。とにかくこれからの若い世代は、少しずつ身長が低くなるのは事実らしい。今度神戸大学の生徒とすれ違ったら、もう少し身長に慎重を───じゃなくて慎重に身長を観察してみよう。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。