SOLA TODAY Vol.106
初対面なのに好きになる人。反対にどうしても嫌いだと思ってしまう人がいます。人間の出会いというものは、そういうものですね。好きとか嫌いという感情は、その理由が明確でなくても無意識に覚えるものです。だけど同じ人に対して状況が変化した時、嫌いが好きに変化することがあります。
そんな好き嫌いに関する、とても素敵なコラムを読みました。
これは『ほぼ日刊イトイ新聞』のコラムでして、そこで主催するコラム塾の塾生の投稿だと思います。面白いのはこの2つの投稿で嫌いだと言っているのは、それぞれの相手です。つまり『わたしの嫌いな人』というタイトルで、双方のことを書いているのです。
2人は会社の同僚ですが、永田さんのほうが2つ年上です。お互いのプライベートな環境がよく似ているらしく、特に子育て等に関して苦労しながら仕事をされているようです。
永田さんはそうしたプライベートな部分を会社に持ち込みたくない。ところが福岡さんはそれをオープンにすることで、参考になる意見を聴きたいというタイプでした。会社の飲み会の席で福岡さんが家族について話したいと切り出すと、永田さんは冷たい態度で拒否します。それ以来2人の関係は冷え切ってしまいます。
やがて福岡さんが退職することになり、永田さんはちょっと気になりました。彼女が嫌いであることに変わりありませんが、あまりにつれない態度をとったことを反省していたからです。でも結局は何も言えないまま会社での関係は終わりました。
その後、永田さんは1000人近い応募がある『ほぼ日塾』の生徒の80人に選ばれます。最高の気分で会場に行くと、驚いたことに福岡さんも応募して選ばれていました。ありえない場所で知人に会った嬉しさで、つい永田さんは声をかけてしまいます。
2人はその後に絞り込まれた40人にも残り、同僚時代と違った関係を築いていきます。そこで永田さんは福岡さんを食事に誘い、言えなかった謝罪の言葉を述べました。福岡さんもそのことに感動して、実は自分も永田さんが嫌いで、Twitterの裏アカウントで悪口を書きまくっていたことを告白します。そのことを謝りたいとずっと思っていたそうです。
そして2人は日帰りで温泉旅行に行くような関係にまで発展しました。あれほど嫌いだったのに、むしろ好きだと言える関係に変わっています。それぞれ3回に分けたコラムになっていますが、ぜひ読んでみてください。とても面白いですし、心に響きます。
同じ時系列の出来事を通じて、互いにどのように感じたり考えたりしていたのかがよくわかります。『嫌い』ということの大部分は、ほんのちょっとした行き違いや誤解によって、相手の立場を理解できない自分の独善的な感情だということがわかります。
さらに自分の恥をさらけ出してでも心の内を見せることで、それまでのギクシャクした人間関係が大きく変わることも見せてもらえました。倫理的な部分や価値観の違いで、どうしても相容れない人間関係というのはあるでしょう。
でもそれだけではないと感じました。本音を出し合うことで、それまでに経験していない新しい関係を他人と築いていけるかもしれません。そんなことを感じさせてもらえる、素晴らしいコラムのやり取りでした。
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