SOLA TODAY Vol.225
ボクが苦手なもの。それは散髪中やタクシーに乗っているとき、話しかけられること。
散髪は寝たふりができるから、必要なことだけ言って黙れば大抵はうまくいく。
しかしどうもタクシーは難しい。散髪はリラックスを装えるけれど、昼間にシラフでタクシーに乗って、行き先を告げた直後に寝たふりをするのは不自然すぎる。
だから話し好きな運転手さんにあたってしまうと、仕方なく会話をしなくてはいけない。困ったことにボクには余計なサービス精神があるものだから、ついつい相手の調子に合わせて質問したりしてしまう。だから降りるまで会話がとぎれない。
そんな悩みを京都のタクシー会社が解決してくれた。
タクシー車内、会話不要? 乗務員が客に話しかけない「サイレンス車両」、試験運行中
京都の『都タクシー』(懐かしい名前〜!)が、3月の下旬から「サイレンス車両」を試験導入している。乗降時のあいさつやルート案内、緊急時の対応以外は、運転手さんから客に声がけをしないというもので、その旨が助手席ヘッドレストの裏に掲示されている。
これはいい。まだ京都市内を中心に昼5台、夜5だい程度しか走っていないらしい。でも評判がよくなればもっと増えるだろうし、他のタクシー会社にも同じ動きが出て来るかもしれない。
もちろんなかには話したいお客さんもいると思う。観光地のことや、美味しいお店なんか訊きたい人もいるだろうしね。きっとそういう場合は対応してくれるということだろう。
ボク的には最高のサービス。必要以外のことは、見知らぬ人と話したいとは思わないから。馴染みの散髪屋さんでも、ボクは3回くらいしか口を開かないからねw
でもこれって、全車両に導入してもいいのでは?
だって話したい人とは会話してくれるわけでしょう? 会話したいかどうかを、お客さんの判断にすべて委ねてしまえばいいと思う。普通にあいさつしてもらって、行き先を告げたときに返事をしてもらえたら、ボクはそれで十分。
タクシーでの会話が嫌いなボクだけれど、話さない運転手がさんがいいと思っているわけじゃない。まだ20代のころ、京都でタクシーの運転手さんを怒鳴りつけたことがある。
乗車してもまったくあいさつなし。まぁ、それはそれでいいかと思った。
だけど行き先を告げても、まったくノーリアクション。ウンともすんとも言わない。聞こえなかったのかなぁと思って、もう一度行き先を告げた。だけど返事がない。
その瞬間、ボクの脳の血管が切れる音が聞こえた!
「おいこら、聞こえてんのか! なめとったらあかんぞ。返事ぐらいせんかい!」と思いっきり怒鳴りつけてしまった。
ようやくぶすっとした顔で「はい」と運転手さんは答えたけれど、ボクの怒りは止まらない。それ以来、そのタクシー会社の車には2度と乗車していない。今でもその会社の名前を覚えているくらい、ボクは執念深い。急いでいても、別のタクシーを待つようになった。
余計な会話は必要ないけれど、社会人として普通に接してほしいと思う。嫌な客がいて機嫌の悪いときもあるだろう。だけど同じ人間が乗っているわけじゃない。プロならば気持ちを切り替えて、普通に対応してほしいよね。
とにかく「サイレンス車両」が全国的に普及することを願っている。そのうち自動運転になれば、こんな心配はしなくていいだろうけれどね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。