誰もが嘘をついている
人間は嘘をつく生き物。猫や犬たちが嘘をつくことはない(多分ないと思うwww)だろうが、人間はほぼ確実に嘘をつく。
それは他人をだますための嘘から、誰かを守るための嘘まである。真実が正義とは限らず。嘘が悪だとは言い切れない。その時々によって真実と嘘が混ざり合っているのが人間社会だろう。
ただしネット社会のいまは、過去に比べて嘘がつきにくくなっている。正確に言えば、ネットによって本音を漏らす機会が増えている。そのことを取り上げた本を読んだ。
『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』セス・スティーブンズ=ダヴィドウィッツ著という本。
この本はマジで面白いでの、めちゃめちゃオススメ。著者は元Googleのデータサイエンティストで、検索データの分析を職務にしていた。その後は大学教授等を努め、現在はニューヨークタイムスの寄稿者という肩書き。
その著者がGoogle時代の経験を基にして書いたのがこの本。とても面白いんだけれど、ある意味怖さも感じる内容だった。
このタイトルにあるように『誰もが嘘をついている』という言葉に隠されている、真の意味がわかるだろうか?
嘘は嘘だとわかって始めてそのことを認知される。つまり『誰もが無意識に本音をさらしている』ということ。これはネット社会特有の現象だろう。
例えばネットでアンケートに答えたとしよう。自分にとってどうでもいいことは、ある程度正直に答えるだろう。だけど触れて欲しくないことや隠したいことを、正直に答える人はいない。
LGBTが認知されつつあるとはいえ、自分が同性に興味を持っていることを隠したい人はいるはず。あるいは大人よりも子供に性的関心があるという人も、そんな自分を隠そうとする。例え犯罪に至らなくても、人間は他人に隠しておきたいことがあるだろう。
ところが『検索』はちがう。近親相姦に興味がある人は、それに関する項目を検索してしまう。体調が悪い人は、病気に関することを調べる。とにかく人に知られたくないことで、世間はどうなのかと思えば検索する。
そんな検索ワードを、当然ながらGoogleは把握している。それについて個人を特定することはない。ただ社会の傾向として、どのようなものに人々が関心を持っているかをチェックしている。それは広告主のためでもある。
だから人々の本音を知っているので、『誰でも嘘をついている』という結論になってしまう。このような検索データ等を総称してビックデータと呼ぶ。企業や政府は、喉から手が出るほどこのビックデータを求めている。そこには人間の本音がありのままになっているから。
この本で紹介されていた面白い例がある。一般的に暴力的な映画が流行すると、暴力事件が発生しやすいと考えられている。でもビックデータを分析すると、暴力映画がヒットした時期に限って、全米の暴力事件が減っている。明らかに有意性のある減り方とのこと。
その理由が面白い。暴力に興味を持っている人がそうした映画を好むのは事実らしい。ところが映画がヒットしている時期は、そういう人が映画館に監禁されている。そのうえ映画館でアルコールを提供しているところはほとんどない。
つまり映画の公開期間中は、暴力的な素養のある人がお酒を飲んで街を徘徊することが減少する。そのことによって暴力犯罪が減っているということがビックデータからわかるらしい。面白いよねぇ。
ボクたちが自分の理想イメージを作り上げようと嘘で着飾っても、現代社会では本性がバレやすいということ。要するに普段から自分の本性をさらけ出している人のほうが、気楽に生きられる時代なのかもしれないよね。
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