デマと知っているのに買う理由
昨日、自宅を出ていつものスーパーに到着するまでのあいだ、機関銃のように連射されるデジャブ体験をした。
それは両手にトイレットペーパーとティッシュを抱えている人たちの様子。年齢も男女も様々だけれど、誰もが同じ姿で歩いていた。
新型コロナウイルスの影響でトイレットペーパーがなくなる、というデマが流布されたことによるもの。最初はアハハと思いながら歩いていたけれど、そのうち笑えなくなってきた。なぜならスーパーにいる人たちがどこか殺気だっていたから。パニック寸前という雰囲気だった。
ネットによると、最初は熊本の人が書き込んだツイートらしい。マスクの生産に紙が大量に使用されるので、トイレットペーパーが品不足なるらしいという根も葉もないデマ。だけど一気に拡散されて、日本中の店舗からトイレットペーパーが消えてしまった。
その広がり方は尋常なスピードではない。ウイルスの拡散よりはるかに速い。そんなデマの本質について考察した記事がある。
デマはウィルスより速く世界に拡散する――情報の感染爆発とは何か
なかなか面白い記事だった。他にも今回のウイルス騒ぎによるデマが紹介されていて、冷静に読むとアホらしい内容ばかり。だけど信じてしまう人が多いんだよねwww
どうすればデマに翻弄されないのか、ということを日頃から意識しておくのは大切だと思う。リンク先の記事によると、デマには2種類あるとのこと。
ひとつは本気で調べたらデマだとわかる内容。トイレットペーパーのデマ騒ぎはその代表例だろう。事実ボクが昨日行ったスーパーでは、普通にトイレットペーパーが置かれていた。だけど大勢の人が目の色を変えてトイレットペーパーを抱えている。本当に異様な光景だった。
もうひとつは自分で調べることのできないデマ。たとえば今回のウイルスが生物兵器というような内容。そんなデマが流れてきても、事実をたしかめることができない。誰も明確に否定することができないので、デマだけが一人歩きしてしまう。
最初のデマについては正しい情報を調べること。それである程度は解決できる。後者のデマについては、真偽がわからないのでスルーするしかないと、リンク先の記事で結論されている。ボクもそう思う。陰謀論なんて気にしていたら、キリがないからね。
ただ問題なのは、デマだとわかっても止めらないということ。おそらく昨日ボクが見た人のうち、その多くはデマだと知っていた可能性が高い。それなのにトイレットペーパーを買ってしまう。実際に品薄の映像がテレビで流れたりすると、不安になってしまうからだよね。
デマだからそんな情報に乗らなければいい。それが最善の行動だろう。みんながそうしてくれたら、大した問題にならないはず。だけど現実はちがう。ダメだと知っているのに買ってしまう人が続出する。それには理由がある。
それは、他人を信用できないから。
これに尽きる。デマだとわかっていても、買い占める人がいるかもしれない。そう思うだけでじっとしていられなくなる。その気持ちはボクにもわかる。だから念のためにストックしておこうと考えるだろう。
自分が正しい情報に基づいて動いても、他人がそうしてくれるとは限らない。そうなるとどうしようもない。実際に豊富な在庫があることを確認しない限り、不安が先行していくことになると思う。
だからできることなら、メディアの人たちは不安をあおるのではなく、デマの解消を意図した報道姿勢を持って欲しい。こんなデマが流れています、という報道だけではダメ。デマを否定できる映像を一緒に流すべき。他人を信用できず、デマだとわかっていても買いに走るのが人間だからね。
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