幸福だと記憶を失う病気
世の中には一般に知られていない病気がいくつもある。珍しい病気だけに治療が困難だったり、周囲の理解が得られないことが多い。
昨日ある記事を見て、こんな病気があるのを初めて知った。
記憶障害というのは、映画等でも取り上げられているので知られている。過去を忘れる記憶喪失から、昨日のことを記憶できない短期記憶の障害もある。だけどリンク先の記事の女性は、幸せを感じると発作を起こして記憶を失ってしまうそう。なんて気の毒なんだろう。
その病気は機能性障害(FND)という病名。感情がたかぶると発作を起こして記憶に障害が出る。対象となる感情は人によってちがうらしく、この21歳の女性の場合は幸福感によって発作が誘引される。幸せな気分になれないなんて、あまりに辛過ぎる。
発作が起きると全身が痙攣して歩けなくなり、会話もできない。そして記憶の一部が消えてしまうそう。17歳のときに症状が出て、5年間もこの病気と向き合っている。
街を歩いていてもいつ発作が起きるかわからないし、自宅にいてもコメディ番組やストレスの要因となるニュースを見ることができない。人は笑うことで感情をコントロールしているのに、それができないのはボクたちの想像が及ばない世界だろうと思う。
ただ彼女には同居している恋人がいて、その人の献身的な行動で助かっているそう。その恋人のことを何度も忘れたそうだけれど、記憶を継続できるよう彼が日記を書いてくれている。いつも彼女に付き添ってくれているので、彼女は記憶をなくす度に恋に落ちているそう。
その恋人はプロポーズしたいけれど、彼女が喜びのあまり発作を起こすと困るので我慢している。
治療法は確立していないらしく、高額な民間療法に頼るしかない状況。だからこの女性は治療費を集めるためクラウドファンディングをやっている。でも本当の目的は、こんな病気があることを世界に知ってもらうためとのこと。
人間は幸せになるために生きている。なのに幸福感を満喫できないなんて本当に気の毒。どうにか治療法が見つかって、彼女が彼のプローポーズを受けることができるといいね。
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