完璧すぎる二次創作
人気作品の二次創作が、熱心なファンによって執筆されることがある。物語の世界観に惚れ込んだことで、自分なりの物語を体感したいからだろう。ボクも大好きな物語の世界に入れ込むほうなので、二次創作する人の気持ちがよくわかる。
そんな二次創作を、なんと作家本人がやってしまったという作品を読んだ。それも無名の作家ではなく、世界的なベストセラー作家によるもの。
2021年 読書#22
『レギュレイターズ』上巻 リチャード・バックマン著という小説。このリチャード・バックマンというのは、あのスティーブン・キングの別名。彼はこの名前を使って、いくつかの作品を残している。ちなみにリチャード・バックマンはすでに病没したことになっているwww
さてその元の作品とは『デスペレーション』という小説。その下巻を読了したときの感想は、『なぜ神は残酷なのか?』というブログに書いているので参照を。
元作品の『デスペレーション』はある炭鉱で古い悪魔の像が掘り出され、そのタックという悪魔が次々と人間に取り憑いて殺してしまうとう物語。神と悪魔の対決が描かれたような作品で、最後に生き残ったのはたった4人という恐ろしい物語だった。
この『レギュレイターズ』は同じ名前の人物が登場する。そしてタックという悪魔の役割も同じ。ただし場所はオハイオ州の架空の町で、登場人物たちはその街の住人という設定に変わっている。ちなみにどのようにちがうか書き出しみよう。
ジョン・マリンビル:前作と同じ作家。前作では自分を犠牲にして4人を助けている。
コリー・エントラジアン:前作ではタックが取り憑いて大勢を虐殺した。今回は元警官でいまのところが活躍してるwww
メアリ・ジャクソン:前作の生き残りだけれど、今回は登場と同時に殺される。
デヴィッド・カーバー:前作の主人公で、彼の力によってタックに勝てた。前作では少年だったのに、今回では大人。なんと彼もすぐに殺された。ちなみに前作での妹が彼の妻となり、両親が彼の子供たちとなっている。
スティーブ・エイムズ:前回はジョンのマネージャーで、生き残った人物。今回は流れ者となっている。いまのところ生きている。
シンシア・スミス:前回はヒッチハイクでスティーブと知り合い、彼女も生き残った。今回は家出して街に来たばかりのコンビニ店員。彼女もまだ生きている。
その他にも前作を知っている人なら、思わずニヤリとするような描写が出てくる。例えばデヴィッドは、前作で身体に石鹸を塗ることで牢屋から脱走できた。今回は車の洗車中に狙撃が始まり、同じく石鹸だらけの状態で殺されている。
今回の作品は、タックがちょっとちがう。以前は人間に取り憑いて殺人を行っていたが、今回は自閉症の少年に取り憑くことで、少年が想像したものを物体化することで住民を殺戮している。住民が殺されたのは、タックが想像によって創造した複数のワゴン車と人物による狙撃だった。
タックが元いた場所は、やはりデスペレーションという街。炭鉱町からオハイオにやってきたことで、どうも能力がヴァージョンアップしているよう。最終的にこの作品では誰が、そしてどのようにしてタックを倒すのか? いまのところは予測がつかない。
なんせ作家自身による二次創作だから、まったく想像できない。それもスティーブン・キングだから、きっと想定外の結末が待っているような気がする。下巻を読むのが楽しみだなぁ。
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