ヴィーガン離脱が増えるかも
ヴィーガンを自称する人たちの主張として目立つのは、動物の命を守りたいというもの。その気持ちは理解できるし、畜産家の大学を卒業したボクは食肉業の実態を直接目にしている。屠殺場の見学も実習に含まれていたから。
だからこの点をクリアできるのなら、何がなんでも菜食にこだわるという人はそれほどいないように感じている。なぜなら大豆ミート等でそれらしく調理することで、肉を食べている感覚を求めている人が多いから。申し訳ないけれど、ボクには往生際が悪いようにしか見えない。
ボクは自分の感覚に正直でありたいので、食肉の実態を知りつつ肉食をしている。だから宗教のようにヴィーガンを強要する人は大嫌いだけれど、その人の感覚でヴィーガンであることを非難する気持ちはまったくない。他人を取り込もうとしないのなら、それぞれでいいと思う。
肉を食べないとしても、命の犠牲なしに生きていけないのはヴィーガンも同じだから。それはこの世界に存在する生物の宿命だといえる。だから人間だってバカじゃない。少しでも環境を破壊せず、より多くの人の食糧を確保できる方法を模索している。
ある記事を目にして、これはいいなと思った。もしこの方法が定着したら、ヴィーガンを離脱する人が大勢出てきそうな気がする。
世界初!培養肉製造工場がイスラエルにオープン。毎日ハンバーガー5000個分の肉を生産
ヴィーガンのためというよりも、世界を食糧危機から救うための研究が進んでいる。リンク先の記事によると2040年には世界の肉の60パーセントが人工肉になるだろうと予測されているそう。
そんななか、IT先進国のイスラエルで培養肉の製造工場がオープンした。記事のタイトルにあるように、1日に500キロの培養肉を生産することができ、ハンバーガーにすれば5000個分に相当する。
この培養肉は家畜の命を奪うことがない。家畜から採取した細胞を培養して成長させるので、大豆ミートとちがって本物の動物性タンパクを摂取できる。動物血清や遺伝子組換えの技術に頼る必要もない。そして環境にも優しい。記事から抜粋してみる。
『従来の食肉生産に比べると、温室効果ガスの排出量が80%少なく、使用する土地が99%少なく、さらに消費される水も96%少ない』
リンク先の記事を見ている限り弱点が見つからない。価格も低コスト化が進み、鳥の胸肉で100グラムあたり400円くらいで提供できるそう。これならそれほど高価な食材ではない。
もちろんすべてが事実だという前提なので、実際に流通するまではわからない。だけど培養肉はシンガポールで世界に先駆けて別の企業が販売開始するそうだし、このイスラエルの培養肉も来年からアメリカで販売されるとのこと。どのような感想が出てくるのか楽しみにしている。
もし普通の肉としての価値を維持することが確認されたなら、最初に書いたようにヴィーガンから離脱する人が増えるだろう。最大の主張である動物の命を奪うということがなくなるから。ボクも興味があるので、日本で提供されたら食べてみたい。
まぁ、それでも反対派が絶対に出てくるだろうな。特にヴィーガンを宗教のようにして収益をあげていた人や組織は、培養肉を徹底的に攻撃するだろう。それまで動物の命を守ることを主張の柱にしていたけれど、一気に方向を変えて、培養肉は神への冒涜だと言い出しかねないwww
とにかく今後の展開に注目したいと思っている。
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