これが他国に侵略される実態
武力による他国の侵略という行為は、悪魔の所業だとしか思えないようなことが起きる。ロシアがウクライナに侵攻したとき、一部のコメンテイターは、ウクライナが降参することで人命を救えると語っていた。でもそれは侵略という行為の実態を知らない、他人事の言葉でしかない。
他国の侵略を許したとたん、一般人にどのような地獄が待っているかは歴史が語っている。決して過去だけに起きたことではなく、ウクライナでもまとめて埋葬された民間人の遺体が多数見つかっている。
そんな侵略の実態を知りたい人は、『同士少女よ、敵を撃て』という小説を読んでほしい。第二次世界大戦でドイツがソ連に侵略したときの実態を描いた物語。平和に暮らしていた村人たちの男や子供はその場で銃殺。若い女性はレイプされた末に殺されている。このような行為は、実際に世界中で起きている。
ベトナム戦争でも、アメリカ兵が民間人を殺したり女性をレイプしたという実態がある。戦争というのは人間を完全に狂わせてしまう。侵略を決行する国は、世界の情勢を判断してから攻撃する。ウクライナを侵攻したロシアを見ればわかるように、世界からの非難を受けても、具体的に第3国が手を出さないことを確認してから侵略している。
つまり侵略を受けた国は、助けてくれる国が存在しない可能性が高い。そんなとき、憲法9条があっても相手の国は笑って無視するだけ。ウクライナのように徹底抗戦するしか、実際に侵略が起きた場合に家族を救う道なはい。
小説が苦手という人は、漫画ならどうだろう? 侵略の実態をリアルに感じられる素晴らしい作品がある。
2022年 読書#104
『石の花1』坂口尚 著という漫画。ボクも初めて読んだ作品だけれど、この第1巻だけで戦争の恐怖が十分過ぎるほど伝わってきた。物語の舞台はユーゴスラビアで、第二次世界大戦によりドイツの侵攻を受けた世界が描かれている。
物語は平和なユーゴスラビアの村の情景から始まる。まだこの時代はユーゴスラビア王国と呼ばれていて、複数の民族が暮らしている国家だった。その国のダーナスという村に、新任教師のフンベルバルディングがやってきた。世界情勢は不穏だったけれど、ダーナス村はまだ平和だった。
ところが一夜で情勢は一変する。ドイツの侵攻と同時に村人のほとんどは殺されるか、収容所に連行された。主人公はクリロという男子中学生。仲の良かったフィーという女性は収容所に連れ去られるが、クリロはかろうじて逃亡に成功する。
やがてクリロは反独ゲリラの組織に参加した。彼の念願は大学に通っていた兄のイヴァンを見つけること。このあたりの人物相関がとてもうまく構成されている。兄のイヴァンを探しているとき、クリロは偶然にフィーを見かける。
フィーは収容所にいたけれど、マイスナーというドイツ人将校に助け出される。フィーが死んだ妹にそっくりだったから。そんなフィーを助けようとしたとき、クリロはマイスナーの家で兄のイヴァンと再会する。
イヴァンはマイスナーと友人関係で、ドイツ軍の手先として働いていた。兄を責めるクリロに対して、イヴァンは隠されていた事実を告白する。二人は本当の兄弟ではなく、イヴァンはドイツ人とユーゴスラビア人のハーフだった。幼いころにドイツにいて、マイスナーと友人関係だった。それでドイツに味方をしている。
でもイヴァンには何か別の目的があるらしい。まだそれは明かされていない。とにかくドイツへの忠誠を見せるため、クリロを銃殺するように命令される。そこでイヴァンは銃殺を偽装してクリロを逃す。そして再びドイツのために働くというというところで第1巻は終わった。
戦争の恐怖だけではなく、ドラマとしてもよくできた物語。全部で5巻まであって、いまは第2巻を読んでいる。クリロ、フィー、そしてイヴァンの運命がどのように展開していくのか。その結果を見つめながら、戦争の恐怖を感じていこうと思っている。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする