SOLA TODAY Vol.841
20代のころ税理士事務所で働いていたとき、一番緊張したのが担当先の税務調査。さすがに国税局の強制捜査は経験ないけれど、税務署が実施する調査は何度もあった。
緊張するのは自分の仕事に問題があるからじゃないよ。脱税まがいのことを担当先に依頼されても、毅然として断っていたからその点に関しては心配ない。それでも緊張するのは、担当先の経営者が想定外のことを言い出さないかどうか。
ボクたちは担当先が出した資料に基づいて税務申告書を作成したり記帳指導をしている。怪しいお金の動きがあると大抵はわかる。だけどまれに頭のいい人がいて、巧妙に何かを隠していることがある。
税務調査は定例的なものがあるけれど、なかには調査官が『何か』をつかんで来ている場合がある。そんなとき、慣れていない人は緊張のあまりポロっと告白してしまうことがある。そうなってしまうと、あとは必死で尻ぬぐいするしかない。
もうひとつ怖いのは、調査されている人が脱税だと思っていないこと。だからボクたちにも言わないので、調査の段階でそうしたことが明らかになることがある。とにかくハプニングがないか、いつもドキドキしていた。
まさにそんな状況で、特定の富裕層が脱税を摘発されているらしい。
脱税30億円を摘発!国税は芦屋の超富裕層たちの何に目をつけたのか
なんと大阪国税局が30億円と言う脱税を摘発している。ターゲットとなったのは、神戸のとなりにある芦屋市の六麓荘という超、超、超高級住宅地で暮らす人たち。
その地域の住人が協調して脱税をやっていたわけじゃない。そのほとんどが相続税の申告漏れや、投資による為替差益の申告漏れ。結果として六麓荘で暮らす人たちが重なったということらしい。
相続税の申告は、思っているより難しい。土地や建物、あるいは保有株式等は評価額を出しやすい。ところがお金持ちには、父祖から残された美術品等の遺産もある。税理士としてもできるだけそれらを出してもらうように依頼するけれど、蔵の奥にしまい込まれた全てのものまで把握するのは難しいだろう。当人たちもわからないことが多い。
おそらく国税局の方針として、そうした富裕層から税金を徴収しようと決めたんだと思う。きっと全国のお金持ちは、かなりドキドキしているはずwww
税務署の調査官とよく話をしたけれど、彼らは公務員であると同時にサラリーマンでもある。普通の会社の営業職と同じで、ノルマを課せられている。各税務署に追徴税額の目標額が通達されて、調査官は自分のノルマを消化しなければいけない。
だから効率的に税務調査をやる必要がある。特に問題がないところは形式的に調査を行なって、『申告是認』を表明する。そしてがっぽり取れそうなターゲットを見つけて、そちらにエネルギーを注ぐ。本当に大変な仕事なんだよね。
この記事のケースは、一般庶民にはあまり関係ない。でも税務署の方針は常に流動的だからね。まもなく所得税の確定申告が始まるけれど、つまらないことは考えないほうがいい。調査官たちはプロだから、取れるとなると全力で向かってくるよ。
支払いをしてもこちら言わないとレシートを出さない店舗は、売上を抜いている可能性が高い。もしそんなことをしていたら、いつか痛い目に合うのは確実。堂々とすべてを申告して、お金を使うほうがいいよ。
まぁ、月給だけで生活している人にはあまりの縁のない話だけれどね。
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