香港を出るときが来たかも
昨日は嫌なニュースが流れてきた。ついに中国政府が香港に対する『香港国家安全維持法』を可決した。
今朝の報道によると即日公布されているので、この法律はすでに効力を持っている。ちょうど今日は香港が返還されて23年。50年は守られることになっていた『一国二制度』が昨日をもって崩壊した。
この法律に関していくつかのニュースをチェックしてみた。そのなかでBBCの報道がうまくまとめられていたと思う。
【解説】 中国の「香港国家安全維持法」 香港市民が恐れるのは
この法律では以下のことが処罰の対象となる。リンク先の記事から抜粋する。
・分離独立:国家からの離脱
・反政府:中央政府の権力・権限を揺るがす行い
・テロリズム:暴力や威圧行動
・香港に介入する外国勢力との結託
これだけで中国共産党の明確な意思が理解できる。香港でこれまで行われていたデモはもう無理。この法律を適用するために、どのような理由をこじつけてもデモを阻止してくるだろう。ネット等でこれらに関することを主張することさえできない。
中国政府はこの法律を厳格に適用するため、徹底した対応をとっている。
・中国政府は香港に独自の治安機関を設置する
・香港はこの法律を施行するために独自の安全保障委員会を設置し、中国政府が任命した顧問を起用する
・安全保障に関わる事件の裁判については、香港の行政長官が裁判官を指名できる
・この法律の解釈は香港の司法・行政機関ではなく、中国政府に委ねられる
これを見たら、香港から完全に自由が失われてしまったことがわかるだろう。いままでボクたちが知っていた香港はもはや存在しない。アメリカはすでに制裁措置を発表しているし、イギリスも香港人にたいして市民権の要件を緩和することを決めている。1997年の変換前にイギリス国籍を申請していた人は、希望すればイギリスに移住できるだろう。
だけど問題は、民主化を求めて行動してきた若い人たち。昨日、ボクがフォローしている香港の活動家のツイートを見て胸がつまってしまった。
周庭さんという香港の女子大学生。
『私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。 絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。 生きてさえいれば、希望があります。 周庭 2020年6月30日』
法律が可決されてすぐ、このツイートをされた。香港政府から常にマークされていて、何度も拘留されている。だけど法律が決まった以上、このまま活動を続けることは命に関わると判断されたのだろうと思う。
もう彼らは香港を出るときが来たのじゃないだろうか? 生まれ育ったところを捨てるのは辛いだろうけれど、このままでは自由を、そして命までも奪われてしまうかもしれない。亡命でもいいから、身動きが取れなくなる前に香港を脱出するべきだと思う。
天安門事件のときのように、若い人の血が流れるのを見たくない。どうか安全な国に逃げて、再起を期して欲しい。心からそう願っている。
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