デジタル化の鍵は日常性
大雨警報が発令中の神戸の景色を見ながら、今朝の朝食中に妻と話していたことがある。
神戸は坂が多い。だから高齢者になると、この大雨のなか食料品等の買い物は辛い。結論として宅配を利用することになるけれど、できることならネットを使える方が便利に決まっている。
もちろんネットを使わなくても宅配は利用できる。神戸生協は地域ごとの訪問日が決まっていて、その都度翌週の配達希望を記入して渡せるらしい。だけどやっぱりネットを使えるほうが、はるかに選択肢が増える。いまや役所の手続きにもネット申請が普通になってきたから。
ということで政府はこんなことを計画しているらしい。
60代の25%、70代の57%がスマートフォンを使っていないという統計が出ている。それゆえそうした高齢者を対象として、5年間のあいだに1000万人を対象とした「デジタル弱者」向けの講習会を予定しているそう。
スマートフォンの電源の入れ方から、電話のかけ方、カメラの使い方。さらにメールや地図アプリ、LINE等のSNSの使い方ま教えてもらうことができる。
そして一歩進めて、マイナンバーカードの申請方法やマイナポイントの申し込み、ネットでの税金の申告や、コロナワクチンのような医療機関への予約方法まで講習してもらえるそう。
携帯販売会社や商工会議所の協力を得ることで、専門家を講師として派遣するそう。とりあえず試みとしてはいいことだと思う。ただこれだけでは「デジタル弱者」を減らせないと思う。
そもそも最初から興味を持っている人なら、とっくにスマートフォンを手にしている。だから関心の薄い人が講習会に参加しても、そのときはわかったつもりで終わってしまうだろう。興味がないことはそんなもの。
もし本気でデジタル化を促進するのなら、日常的にスマートフォンを使えるような『場』を設けるべきだと思う。つまりどれだけ生活のなかに、デジタルデバイスを取り込めるかが鍵となる。
たとえばデイサービスに通っている人なら、普段から集まっている人たちとLINEグループを作ればいい。そうすれば交流を深めることで、スマートフォンが日常的なものになっていく。講習会をやるのなら、流れとしてそうした状況に持っていかないと無駄になってしまうだろう。
多額の税金を使って講習会をやりました、ということだけで終わらせたらもったいない。できる限り高齢者のコミュニティを巻き込む形式で講習会を進めないと、真の意味でのデジタル化は難しいと思う。
いまの40代や50代の人たちが高齢者になるころには、こうした心配はかなり減るだろう。とりあえず現状において「デジタル弱者」となっている人を助けるには、普段使いを意識した講習にして欲しいなぁと思う記事だった。
蛇足かもしれないけれど、詐欺にも注意だよね。こうした講習会を装って、高齢者から現金を巻き上げようというバカが出てくる可能性もある。政府としては講習会の企画だけでなく、それに伴う犯罪にも意識を向けたほうがいいように思う。
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