SOLA TODAY Vol.281
AIやロボットに奪われていく仕事は、プロセスが明確なものから始まる。各工程を数値化できるものが真っ先に奪われていく。
だとすると人間に残された仕事は、プロセスが見えにくいものということになる。つまりアイデアや勘、あるいはひらめきのように、パターン化できない仕事が中心になるはず。パターン化された仕事は、あっという間にAIに奪われてしまうから。
そうすると、従業員の仕事ぶりをどのように評価するかが問題になってくる。興味深い記事を見た。
プロセスが見えない仕事は、いつ本領発揮しているのかわからない。ぼんやりしているときに、とんでもないアイデアが浮かんでいるかもしれない。
小説のストーリーをよく思いつくのは、ボクの場合は掃除をしているときや、お風呂に入っているとき。だから同様に、プロセスの見えない仕事をしている人は、会社にいないときに価値のあるアイデアを発見するかもしれない。
こうなってくると、見た目だけで判断することが難しくなる。上司の前では必死で仕事をしているそぶりを見せても、頭のなかは何も考えていないかもしれない。逆に怠けているように見える社員が、とんでもないプロジェクトを脳内で進行させている可能性もある。
要するに従来のような人事評価が適用できなくなってくる。出勤から退社までの態度だけで、その人物の仕事ぶりを判断することは難しい。
ではどうすればいいのか? この記事では明確な答えを出している。
それは『結果』を見るしかない。
上司としてはプロセスを評価できないし、社員を管理することも難しくなる。そうなればアウトプットされたもので判断するしかない。社員の一人ひとりが、自営業的な感覚を持たなければいけない時代になってきたのだろう。
これまでもそうした判断を下されてきた職種がある。それは営業職。
ボクが30歳になったころ、飛び込み営業の仕事を経験した。そこで上司に言われたことは、とにかく結果がすべて。契約が取れたら、残りの時間は何をしていようとかまわない。だけどどれだけ一日中踏ん張っても、結果が出ないと仕事をしていないのと同じだ、と言われた。
それは今のボクがやっていることも同じ。寝る間も惜しんで時間をかけて小説を書いても、売れなければ終わり。仕事をしていないのと同じこと。自営業の人たちも、日々売上を確保するために必死になっている。
これからの時代、社会人の総自営業化が進むような気がする。結果がすべての世界。どれだけプロセスで頑張ったかなんて、誰も評価してくれなくなる。
ボクが長年やってきた経理や財務等の事務職でも、同じことが言える。プロセスがはっきりしている仕事は、AIにやらせればいい。だったら人間にしかできない、まったくちがった分野で結果を求められるだろう。
すでにそうした変化は始まっている。終始雇用や年功序列というものは、弊害しかないことが認知されつつある。経験や年齢に関係なく、結果を出せるかどうかで報酬が決まる。そうした傾向は、やがて中小企業にも浸透していくだろう。
しんどいけれど、わかりやすい。ボクはそちらの世界のほうが好き。判定で勝敗を決められるスポーツはやりたくないからねw
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。