SOLA TODAY Vol.547
久しぶりに嫌なニュースを目にした。気になったので詳しい記事を探してみた。
やはり、嫌な予感がする……。
それは、中国の共産党が国家主席の任期制限の撤廃を発表したというニュース。これまで10年の任期だったものが、国家主席の椅子に好きなだけすわり続けることができるようになった。
独裁者だった毛沢東が亡くなってから、あとを引き継いた鄧小平は改革を進めた。1992年に鄧小平が辞任してから、江沢民、胡錦濤、そして習近平と権力が引き継がれてきた。
中国の国家指導者は、密室で決まる。当然ながら選挙などない。中国共産党の一党支配が続いているので、国民に主権は存在していない。それでも任期を守ることで、独裁者の出現を防いできた。
ところが現在の国家主席である習近平は、任期の撤廃を正式に決めてしまった。本来は2023年に任期満了を迎えることになるけれど、それ以降も国家主席であることが可能になった。
さらに恐ろしいことをやっている。「習近平思想」という彼のイデオロギーを、中国の憲法に明記させた。つまり個人崇拝を徹底的に進めている。個人崇拝は中国の憲法で禁止されているのに、共産党の規約にもこの思想が盛り込まれている。
そして自分の後継者となる若い人材を、政治常務委員会のメンバーに昇進させることを拒否している。言いなりになる人間を近くに置き、才能があっても自分の立場を脅かすような人間は排除する。
これとまったく同じことをやって、とてつもない権力を手にした人物がいる。何千万人という人間を飢えさせ、罪のない人間を投獄して粛清してきた。
その人物は毛沢東。
どう考えても、習近平は長期独裁政権を目指している。たった一人の人間が国家の機能を左右するという、過去に大きな災いをもたらしたシステムを再構築しようとしているとしか思えない。
習近平の支持率は高いらしい。以前に別の記事で読んだけれど、経済がうまく行っているときは国民の支持率が高くなる。だけど経済が行き詰まったとき、国民の支持率を高めるにはどうすれがいいか?
それは軍備を拡大して、他国に対する強い影響力を持つことらしい。
中国は核兵器保有国であり、近隣諸国と根の深いトラブルを抱えている。チベットや新疆ウイグル自治区の人たちの経験していることが、他国で起きないとは言えない。尖閣諸島でトラブっている日本も、決して人ごとではない。
だからこそ、ここにきて国家主席の任期廃止が気になる。ボクの不安が、取り越し苦労であることを願うばかり。
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