泣き虫の殺し屋
いよいよ土日でゴールデンウィークも終わり。今日もいい天気なので、六甲山に向かうバスは満員だった。散歩していて見かける阪急電車やJRも、かなり混雑している。同時にゴールデンウィークのUターンラッシュも始まっているようなので、移動する人は大変だね。
ボクは新作小説が佳境に入ってきたので、時間を忘れて集中している。難しい部分に差し掛かっているので、ちょっとナーバスになっているのは事実。だけどそういうときは、考え込んでいても無駄に時間を過ごすだけ。
『やる気』というのは、出てくるのを待つものじゃない。やることで、引きずりだすもの。悩んでいてパソコンに向かうのが億劫になっているときこそ、あえて画面を開くほうがいい。そうして５分も格闘していると、突然に『やる気』が発生してくる。そうなると、逆に止めるほうが大変になってくる。
『やる気スイッチ』なんて、絶対にないからね。そんなもの探している暇があったら、やるべきことに手をつけるほうがベター。『やる気』が出てくるのを待っていたら、永遠に待ちぼうけすることになるよ。
さて、かなり久しぶりに再会した女性がいる。その名はニキータ。
『ニキータ』という1990年のフランス映画。有名な作品なので、観たことがある人は多いはず。監督は名匠のリュック・ベッソン。
ボクがこの映画を初めて観たのは、『アサシン暗・殺・者』という映画を観たのがきっかけ。そこそこ面白いハリウッド映画だったけれど、それはこの『ニキータ』のリメイクだと知った。それで調べてみたら、なんと『レオン」という大好きな映画と同じ監督だったのでビックリ。それで、レンタルビデオを借りて観たのが初めてだった。
ニキータは麻薬中毒で、チンピラ仲間と薬欲しさに薬局へ強盗に入る。仲間は皆殺しにされるけれど、彼女だけは生き残る。困ったことに警官を撃ち殺している。それで無期懲役を受けたけれど、その才能を政府組織に見込まれることになった。
政府の工作員として生きるかどうかの選択を迫られる。死んだことにして記録をすべて消され、殺し屋になるのなら命は助けてやると言われる。何度も抵抗するけれど、最終的には優秀な工作員として社会に復活する。そして人を殺すことに葛藤を抱えたまま、大きな事件を任されることになるという物語。
この映画があったからこそ、ジャン・レノとナタリー・ポートマンが主演した『レオン』があるんだと思う。どちらの殺し屋も心に葛藤を抱え、優しさを持っている。それゆえに苦しむ。
映画としては『レオン」のほうがずっといい。でもボクは、この映画に登場するニキータも大好き。ちょっと演技がオーバーアクションだと感じることはあるけれど、彼女の狂気がうまく表現されていると思う。
久しぶりにこの映画を見ていて、『ドラゴンタトゥーの女』という映画の、リスベットという主人公を思い出した。リスベットは天才ハッカーだけれど、どこかぶっ飛んでいる。自分の父親を焼き殺したくらい。だけどとても優しい心や、乙女チックなものも持っている。
ニキータもよく似ている。殺し屋稼業に疲れ切っているけれど、本当のことを言えず恋人に泣きついたりする。そんな矛盾したキャラがボクは気に入っている。
そういえばリュック・ベッソン監督は、超人的な能力を持つ、強い女性を主人公にするのが好きだよね。『フィフス・エレメント』も『ルーシー』も、強い女性が主人公だった。『レオン』だって、ナタリー・ポートマンが演じたマチルダという少女は、めちゃ芯の強い女の子だった。
きっとそんな女性が好きだったのだろう。離婚したけれど、『バイオハザード』のミラ・ジョボビッチと結婚していたのもわかる。こんなことを書いていたら、久しぶりに『レオン』が観たくなてきた。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
