命を見守る手術室の裏方
昨日に新作小説を書き終えたので、今日は外出ついでに懸案事項を解決してきた。その勢いで今日から始まった国勢調査も、ネットを使って回答を済ませた。
気になることを放置するのが嫌な性格なので、これでおおかたはスッキリ。明日からは次の小説に向けて本格的に動こうと思っている。
さて、とても勉強になった本を読了した。いつボクたちもお世話になるかわからないので、この本を読んでおくといいよ。
『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』ヘンリー・ジェイ・プリスビロー著という本。
著者はアメリカで現役の麻酔医として患者に接するだけでなく、大学でも教えている。麻酔医が実際にどのようなことをしているのか、その準備や技術だけでなく、医療従事者としての麻酔医の心理にも深く切り込んでいる。知らないことばかりで、本当にためになる本だった。
手術が行われる場合、当然ながら執刀する医師がメインとなる。だから手術が成功しても、患者やその家族から感謝されるのは医師や看護師。麻酔医は裏方として注目されることが少ない。
ところが医療現場において、麻酔医は患者の命だけでなく、メンタルな部分に関しても大きく関与している。どんな病気や怪我でも、手術を受けるのは怖いもの。うまくいくか不安があって当然。麻酔医はそんな患者の不安を和らげるために日々努力を重ねておられる。
特に著者の専門は小児科の麻酔医なので、子供の不安を和らげることに詳しい。麻酔というのは手術中の痛みを無くすだけでなく、不安を取り除くことも、そして無事に覚醒させることも含まれている。そのために適切な投薬と患者の観察が欠かせない。
手術室に入る前から患者の不安に寄り添い、手術前の麻酔から手術室を出るまで患者のバイタルデータを管理しているのは麻酔医。血圧や心拍数を常に見ながら、投薬の準備をしている。手術室では裏方に見えるけれど、実は患者の状態を適切に保っているのは麻酔医のおかげだということ。ボクは知らなかった。
大人の場合は点滴を使った麻酔が主流だけれど、子供の場合は暴れないようにガスが使われる。ボクはそのガスの麻酔の経験が一度だけある。まだ5歳くらいのころ、二階の部屋から落ちて一階にあった寿司屋のアンテナで左目のすぐ横を大怪我した。
そのとき目の横を縫合するのに、ガスで麻酔をかけられた。記憶にあるのはガスを吸ったあと、部屋が回転したと同時に医師がバルタン星人のように分裂したことwww
エーテルというものが発見されて以来、麻酔薬は100年を超えて使用されている。ただいまだになぜエーテルによって意識と感覚がなくなってしまうか、そのシステムが解明されていないとのこと。そうなるから、使っているだけらしい。
それでも医学の進歩によって、より適切で効果的な麻酔が行われている。そしてこの本にも出てきたけれど、麻酔医のおかげで新たな病気が見つかったり、執刀医のミスを麻酔医がカヴァーしたこともあるそう。だけど感謝されるのは執刀医なんだよね。
医学の素人でも大丈夫な内容なので、普段はなじみのない麻酔医の方たちに仕事を理解するのに最適な本だと思う。
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