日本製コロナワクチンが遅い理由
2度目の緊急事態宣言が発出されてから、ようやく感染者が減少傾向を見せてきた。来週になれば、宣言解除についても検討するとのこと。
そして今月の中旬にはワクチン接種がスタートする。春に向けて少しでも感染が終息していけばいいな。ただワクチンは輸入に頼っている状態。日本ではシオノギ製薬が新型コロナワクチンの製造に取り組んでいる。だけど接種できるのは今年の12月くらいとのこと。
なぜこれほど日本のワクチン製造が遅いのか? そもそもなぜファイザーやモデルナ以外の製薬会社がワクチンを製造できないのか?
それらの疑問の答えは、新型コロナワクチンの製造過程にあるらしい。
なぜ新型コロナワクチンは「どんな製薬会社でも作れるわけではない」のか?
新型コロナワクチンは、mRNAワクチンという最新のもの。新型コロナウイルスの遺伝子情報をRNAに転移させて、人間の体内に取り込む。だから弱毒化したウイルスを摂取するものじゃない。
これまでm RNAワクチンは25年以上も研究が続けられていたけれど、コロナのパンデミックが起きる直前にいくつかの研究課題をクリアできたらしい。もし5年前だったら、1年以内にワクチンを製造することは不可能だったそう。
ところがその技術は複雑で、どんな製薬会社でもノウハウを伝授されたら作れるものではない。リンク先の記事から製造過程を抜粋してみる。
◆ステップ1
mRNAに転写する必要のある配列を含む適切なDNAを生成する。
◆ステップ2
バイオリアクターの中で酵素を使い、DNAのテンプレートからmRNAを作り出す。
◆ステップ3
製剤に必要な脂質を生成する。脂質にはコレステロールのような一般的なものもあるが、新型コロナワクチンに使用されるものは一般的な脂質ではないとのこと。
◆ステップ4
mRNAと脂質を脂質ナノ粒子として結合させる。
◆ステップ5
脂質ナノ粒子を製剤に必要な他のコンポーネント(リン酸緩衝液、生理食塩水、ショ糖など)と合わせ、それらを瓶詰めする。
◆ステップ6
瓶詰めしたワクチンを梱包し、輸送する。
この6つのステップが必要とのこと。専門的すぎてよくわからへんけれどねwww
問題となるのはステップ4で、特殊な装置と専門技術が求められる。マイクロ流体力学を使った装置が必要になるので、ファイザーやモデルナのように以前からこの装置を使って研究をしてきた製薬会社にしか作れないそう。他のステップは外注できても、このステップ4だけはどうしようもないらしい。
だから世界中の製薬会社が協力してワクチンを製造するのは難しいとのこと。科学的なことは理解できなくても、おおよその事情は理解できた。だけどなぜ日本産のワクチン製造がこれほど遅れているのだろう?
シオノギ製薬が今年の12月にはワクチンを完成させる見込み。つまりこのステップ4をクリアする装置を所有しているはずだよね?
ここからはボクの想像。日本人は過去にノーベル賞を何度も受賞している。だけど最近の受賞で目につくのは、日本人だけれども海外に拠点を置いている研究者が多い。つまり日本国内で研究できないと感じた人たちは、日本を飛び出しているということ。
もしかしたら日本にとって貴重な財産である優秀な研究者が技術者の多くが、海外へ流出しているのでは? 日本という国は経済だけでなく、科学分野においても競争力を失いつつあるのでは?
日本のワクチン製造が他国に比べて大きく遅れている理由は、設備より人的問題の影響が大きいような気がする。そんなことを感じる記事だった。
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