微妙な規定の銃刀法違反
先日、妻と自宅近くの歩道を歩いていた時のこと。さほど広くない歩道で、街路樹が道路に沿って植えられている。ふと前を見ると、初老の男性が好き放題に伸びている街路樹に向き合っている。そして何かを振り回していた。
近づいてみると、その男性が手にしていたのは大型の鎌のような刃物。雑草を刈る時に使うような普通の鎌じゃない。刃渡りは50センチほどあって、死神が持っている鎌のような雰囲気。
さすがに緊張した。見た目は街路樹を刈っているように見える。だけどそこは定期的に神戸市によって剪定されているので、個人で剪定するなんてあり得ない。それでも個人の戸建て前の街路樹ならわかる。伸び放題が気になって、自宅前だけでも綺麗にしたいと思うかもしれない。だけどそこはマンションの外壁前の街路樹だった。
もし変な人で、いきなり襲いかかってきたらヤバい。いつでも反撃できるように警戒しながら近づくと、その男性は気まずそうな様子でその場から離れた。通り過ぎてから妻と話していて、本気で通報しようかと思った。もしかして、あれは銃刀法違反では?
そんなことを考えていたせいか、こんな記事が目についた。
新宿駅「車内に刃物男」でパニック、「私は料理人」なら銃刀法違反にならない?
今月の25日、東京の山手線で刃物を振り回している男がいると大騒ぎになった。Twitterを見ていると、駅に着いたとたんパニック状態で列車を降りている人の動画が拡散されていた。実際には刃物を振り回していたわけじゃなく、怪我人もなかったそう。
その男性は料理人らしく、退職したことで自分の包丁を持って帰るところだったとのこと。刃物が見えたことで、誰かが騒ぎ出したのだろう。さて、この事例は銃刀法違反になるのかどうか? 結論からすれば、銃刀法違反ではないらしい。記事から抜粋してみよう。
『銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)は、包丁やカッターなどの刀剣類に当たらない刃物について、刃体(刃渡り)が6センチを超える刃物の「携帯」を原則禁止としている(22条)』
『「業務その他正当な理由」が認められる場合(銃刀法22条)や、刃体が8センチ以下のはさみや折りたたみ式ナイフなどの場合(銃刀法施行令37条)は、例外的に携帯が認められている』
基本的に刃渡り6センチ以上の刃物は携帯できない。けれども業務その他正当な理由があれば問題ない。例えばホームセンターで包丁を買って、自宅に持ち帰る場合はオーケイ。あるいはこの男性のように、料理人が自分の包丁を持ち帰る場合も大丈夫。
銃刀法違反にはならないとしても、刃先が見えている状態で携帯するのはまずかったと思う。この場合はJRの規定にも抵触する可能性があるとのこと。だけど刃物を携帯している事情なんて他人にはわからない。本気で人を刺すつもりの人間だって、この事件の男性のように列車内に刃物を持ち込むだろうから。
そう考えたら、ボクが見かけた男性は明らかな銃刀法違反だと思う。神戸市が管理する街路樹をその男性が剪定する権利も義務もない。つまり正当な業務ではないということ。ましてや普段は見かけないような大型の刃物を携帯していた。
だけど銃刀法違反の規定なんて微妙なものだから、結局は自衛するしかないということ。やっぱりあの時は警察に通報したほうが良かったかもね。
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