【響の食帳】フォアグラと杉樽の香りのマリアージュ。未完成の美酒に酔う新政の夜〜高田馬場研究所
またもや忘れられない一日となった。
私が愛してやまない酒、新政。
その新政が37種類も並んだのだから、興奮しないではいられない。
普段から新政好きを公言していると、良いことがあるもので。
友人が通う店で「新政の会」があるからと、声をかけてくれた。
数日前から悪かった体調も万全を期して調整し。他の魅力的な予定も諦め。休日の夜出かけることを家族に詫び。
そうして高田馬場研究所にやってきたのである。
初めて来るお店。店名からもっと穴蔵な空間をイメージしていたが、ごく普通の居酒屋の趣。だが、ずらっと並べられた日本酒の数々が普通の店でないことを物語っている。
お店に入ると、今か今かと期待で盛り上がったお客さんたちの熱気が押し寄せてきた。カウンター席に案内され、ふと後ろを見ると蔵元当主である佐藤祐輔さんの顔も。期待は最高潮へ。
まずは「亜麻猫 Spark 25BY」で乾杯。
この時は全種類呑むぞと息巻いていたっけ。
結果を先に言っておくと、37種類中19種類を頂いた。十分な飲み過ぎである。
そんなだから、ここで一つづつ感想を書くなんてことは無理で(読者の皆さんも退屈だろうし)、素晴らしい酒達と寄り添う、これまた素晴らしい献立もご紹介しながら、記憶に残ったいくつかの酒を記しておきたい。
・明石の秋鱧舞茸焼き / いくらと生湯葉
・究 秋田県立大学×新政酒造 生 25BY / 究 秋田県立大学×新政酒造 25BY / 東北清酒鑑評会 優等賞受賞酒 25BY / 天蛙 25BY
究のストロベリー感、天蛙のマスカット感。なぜ米からこの酒が?と思わせる味わい。
・木野子の椀 山芋落とし / 真鯛の御造り
・佐藤卯兵衛 ひやおろし 25BY 秋田限定 / ほぼ全麹 純米酒(五月ノ頒布)/ やまユ 緑 生 25BY / やまユ 桃 生 25BY
ほぼ全麹をお燗で。こんな旨い燗酒は頂いたことがない。新政独特のふくよかな酸が燗酒でも十二分に味わうことができる。感動。
・対馬の秋鯖 杉板焼き / 加賀の黄金蟹と秋茄子
・やまユ 青 生 25BY / やまユ 白 生 24BY / 秋田流純米 25BY / 冷用ブルーラベル / 92%純米
この辺りかなり酔いがまわっている。 秋田流純米・冷用ブルーラベルは昔ながらの日本酒を思わせるラベル。味わいは他のものより素朴だが、しかしやはり新政の酒と分かる味。
・フォアグラの胡麻ソース
・杉樽蔵酒(四月ノ頒布)/ エクリュラベル / コスモスラベル
そしてこの日一番の感動。フォアグラと杉樽のマリアージュである。
予感があった。フォアグラの独特の香りと杉の香りが合うのでは、と。予感的中。
杉の香りが、木の実やドライフルーツに通じるニュアンスを発揮し、フォアグラの脂と出会う。まさにマリアージュとしか言いようのないカップルであった。
そして未発売のエクリュとコスモス。まだ未完成の味をいただくのは後ろめたいが、来年が楽しみになる味。そしてオペラピンクのラベルにはオンナとして問答無用で惹きつけられる。
・九条ねぎの煮麺 / 果物
・陽乃鳥 / 再仕込み貴醸酒
最後はデザートだからと貴醸酒にしたのだが、果物だったため少しお酒が勝ってしまう結果となった。
クリームを使った濃厚なデザートであれば、より楽しめた組み合わせだったろう。
さて、正直19種類も飲めば、飽きがくるのではと思わないでもなかった。が、そんな愚かな心配は無用。新政は最後まで新政でありつつも、いろんな表情を見せてくれた。
何度もリピートしたい夜。またいつか新政に溺れる日が待ち遠しい。
最近の画像つき記事
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする