SOLA TODAY Vol.491
ノストラダムスの予言というのをご存知だろうか? もしかしたら今の20代の人たちは、なんのことだかわからない人が多いかも。
1999年の7の月、空から恐怖の大王が降ってくる、というものだった。人類の終末予言だと言われ、それまでにノストラダムスがどれだけ多く予言を成就させていたかが取り上げられた。
ただその詩は抽象的で難解だった。どのようにでも解釈することができる。それだけに、得体の知れない恐怖を人々の心に植え付けたのは事実だろう。そんなブームを引き起こすきっかけになったのが、五島勉さんという人が書いた『ノストラダムスの大予言』という著作。
その五島勉さんは現在88歳。しばらく体調を崩されて入院されていたようだけれど、退院されてインタビューに答えられている。とても興味深い内容だった。
伝説のベストセラー作家・五島勉の告白「私がノストラダムスを書いた理由」
いくつかシリーズ本が出ているけれど、最初の本が出版されたのは1973年。ボクは小学校5年生で、この本の噂はクラス中の話題になっていた。1999年に世界は滅亡する。まだ20年以上も未来の話なので実感はないけれど、誰もが興味津々だった。
友人たちと連れ立って近くの書店に行ったけれど、まだその書店には置かれていなかった。それだけにさらにワクワクする。ようやく本を手にしたときは、友人たちと回し読みしたものだ。だけどその内容は推測ばかりで、子供心にも眉唾だったという印象が残っている。
それでも世間に与えた影響は大きい。五島勉さんの本は直接関係ないけれど、同じノストラダムスの予言本が、あのオウム真理教の終末思想に影響を与えたといいうことを耳にしたことがある。そんな予言ブームの名残が、2012年のマヤ暦まで引き継がれていたように思う。
五島さんが最初にノストラダムスのことを知ったのは、旧制高校時代のフランス語の授業だったとのこと。そのときの教師が、こんな不思議な人がいるということを教えてくれたらしい。
その後、週刊誌のライターになったとき、たまたまノストラダムスの詩を見かけた。それで旧制高校時代のことを思い出し、編集長に追い立てられてあわてて書いたらしい。それが伝説的なベストセラーになったのだから、勢いというのはすごいよね。
五島さんが1999m年の7月にどう過ごしていたか?
予言は実現しないだろうと思い、普通に過ごしておられたらしい。まぁ、予言なんてそんなものだよね。結局は自分の人生に満足していない人たちが、現実逃避するために終末論を受け入れているだけだろう。
こういうものは時代を追って次々に現れくるから、そのうち新しいものが登場するかもしれない。そのときにどう感じるかで、人生に対する自分の満足度がわかるだろう。つまらない終末予言を、笑い飛ばせるような人生でありたいと思う。
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