マルチとカルトの根っこは同じ
マルチ商法というのはいまでもあるんだね。それもかなり巧妙化しているみたい。
そんな最近のマルチ商法に関する記事を読みつつ、ボクは20代のころのことを思い返していた。
「洗脳するまで目的は伝えない」起業を夢みてセミナーに通った20代女性の悲惨な末路
リンク先の記事は、いまでも続いているマルチ商法の手口を紹介したもの。ネット社会になったことで簡単に情報が拡散される。それゆえマルチ商法を主催する人たちは、組織名を隠して勧誘をしているそう。
この記事では、普通のバーの経営者や店員までがマルチ商法の会員だったという事例も紹介されている。だからたまたまこの店に通ったことで、餌食にされている人もいるらしい。
いつの世にも騙す人間がいれば、騙される人間がいる。手口が時代によって変化するだけで、根本的な構造は変わらない。実はボクも二十代の終わりにマルチ商法の勧誘を受けたことがある。
ちょうど会計事務所を退職したときで、次の仕事を探していた。ある日知人から連絡があり、自宅にいながら稼げる方法があるとのこと。すぐにマルチ商法だと分かったけれど、手口を知りたくて大阪まで出向いた。
扱う商品は浄水器で、その仕組みは完璧なマルチ商法。元から会員になるつもりはないけれど、最後まで付き合った。大阪の中之島公会堂が最初のセミナー会場で、その後はあるホテルのロビーへと移動。関心がありそうな人がそのホテルに誘われるけれど、いくつかのグループに分かれて会員たちは勧誘を仕掛ける。
もちろん終始笑顔で、会員になることがどれだけ世の中のためになるかを訴えてくる。アホらしくて心の中で笑いをこらえながらその様子を観察していた。滅多に見られないので、なかなかいい機会だったなぁwww
さてボクにマルチ商法を紹介した知人。Nという男性なんだけれど、過去にも同様のことをボクに持ちかけている。Nと知り合ったのはスピリチュアル関連でのこと。奈良県の天河神社によく通っている人で、Nと同行することで天川村の民宿の主人と仲良くなり、神社の宮司さんのお宅まで訪問させてもらえたりした。
不思議な能力を持つ人にも大勢会えたので、そういう意味では感謝している。ただNはどうもマルチ商法の連中に騙されやすい傾向がある。いや、もしかしたら確信犯かもしれないけれど。
マルチ商法の紹介を受ける前は、あるスピリチュアルセミナーの勧誘だった。ファミレスで録音したテープを聞かされ、近いうちに京都市内でセミナーがあるとのこと。うさん臭いと思いつつも、先ほどと同じ理由でそこに集まる人たちを観察したくなった。
そのセミナーはひどいもの。教祖と呼ばれる立場のオッサンが、アホみたいなことを語っている。そして常連たちがそれをはやし立てる。見ているだけで鳥肌が立つほど気味の悪い光景だった。
そして最後に抽選会がある。当選者には教祖のパワーが込められた録音テープが当たる。誰が当選したかわかるよね? もちろんボク。つまりNからの事前情報によって、勧誘候補のターゲットにされていたということ。ボクは鼻で笑っていたけれど、『当選』という事実にハマる人は確実に存在する。
マルチ商法もカルト教団も、その根っこにあるものは同じ。勧誘したい相手に、あなたは『特別』だと思わせることが基本。選民意識を与えることでいい気持ちにさせ、この機会を逃すことが大きな損失だと思わせる。これが基本的な『洗脳』の手口。実際に目の当たりにしたので、実感としてよくわかる。
つまり自分のなかにコンプレックスを抱えている人は、こうした勧誘に引っかかりやすい。選ばれた人間だと感じさせてもらえたことに酔ってしまう。自分の価値は自分が決めることを自覚していない限り、これからもマルチ商法やカルト教団の勧誘に騙される人が出てくると思うよ。
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