特捜部Qファン必読の書
シリーズものの魅力は、登場人物たちの隠されていた秘密が明らかになっていくこと。シリーズの版を重ねるごとにキャラたちが好きになっていくから、彼らのそれまでの人生が気になって仕方ない。
あるシリーズが第8弾になって、これまで謎の多かった登場人物の過去が明かされた。このシリーズは第10弾で終了すると著者がインタビューに答えている。ということは物語が終盤に差し掛かっていて、今回の秘密公開は著者が満を辞して書き下ろしたものだと思う。
それだけにシリーズ最高傑作であり、ファンは必読の書だと確信している。昨晩に読み終えたばかりのボクは、いまだにその興奮から抜けきれていない。
2021年 読書#51
『特捜部Qーアサドの祈りー』ユッシ・エーズラ・オールスン著という小説。デンマークの警察が舞台となった『特捜部Q』シリーズの第8弾。日本では昨年の夏に出版されたばかりなので、このシリーズの最新作となる。
ということでこれから読むファンの人も多いだろう。だからできる限りネタバレを避けて紹介するつもり。だけどまっさらの気分で読みたい人は、ここから先を読まないほうがいいかも。コアなファンのボクなら、絶対にそうする。
特捜部Qというのは過去の未解決時間を扱う部署。これまだ過去7作で、迷宮入りとなっていた事件を解決してきた。そしてそれは現在のデンマークが抱えている問題まで浮き彫りにされている。最初は映画を観たのがきっかけだったけれど、原作を読み出して完璧なファンになってしまった。
特捜部Qを率いるのカールという刑事。右腕の存在がアサドというアラブ人で、二人は何度も死にかけたけれど、助け合うことでどうにか窮地を切り抜けてきた。そしてローセという人格障害を持ちながらも優秀な女性と、新人だけれど大切な仲間になりつつあるゴードンの4人がメンバー。
今回の作品でようやく公開された秘密というのは、タイトルでわかるようにアサドのこと。前回ではローセの暗い過去が明らかになり、彼女は一時的に捜査に参加することができなくなったほど。今回も途中からようやく復帰してくる。
ところがずっと謎だったのがアサド。住所不定だし、家族がいると言いながらも姿を見たものはいない。とにかくシリア関連で何かあったらしく、誰にもいえない秘密を抱えているのは明らか。そのアサドが隠していた秘密が、この作品で完全に明らかとなった。
それは悲惨であり、正視できないほどキツい。ちょっとしたネタバレになるので、ファンの人はこの先を読まないようにねwww
アサドには妻と二人の娘がいた。アラブ人でありながらデンマークで暮らしていた。ところがアサドが生まれ故郷のイラクで軍隊の極秘任務に着くことになり、故郷に帰りたい妻と娘がイラクにやってきてしまった。
その直後に、アサドはある事件に巻き込まれてイラクの秘密警察に拘束されてしまう。そして死刑を執行されそうになったとき、想定外のことが起きて刑務所から脱走することに成功する。その際、アサドを殺そうとしていたガーリブという男に重傷を負わせる。
ガーリブはとても危険な男で、すぐに行動した。なんとアサドの妻と娘を拉致してしまう。そしてアサドに復讐することを生きがいとしている。そのガーリブはテロリストとなって、ついにアサドの居場所を探す行動に出た。
まだ5歳くらいだった娘はすでに成人している。それほど長い間、家族が人質となっていた。もちろん女性であるアサドの妻も娘も乱暴され続けている。そしてガーリブはこの3人に自爆テロをさせることでアサドをおびき出し、彼の目の前で家族を殺害しようとした。
そのことを知ったカールとアサドは、ガーリブが罠を張っているドイツへ向かう。この事件に加えて、さらにデンマーク内で大量殺人を犯そうとした若い男がいた。このガーリブの起こした事件が関係している。果たしてアサドは無事に家族を救い出すことできるのか?
いやぁ、マジですごい小説だった。そして次回が楽しみで仕方ない。おそらく来年くらいには出版されるんだろうなぁ。とにかくこの作品に関しては、絶対に映画化をしてほしいと思う。このシリーズの映画は人気なので、きっと順を追って映画化されると思うけれどね。
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