過去生を扱う物語は難しい
今日の神戸は20度越え。厚手のジャケットで外出したのを後悔した。先週までは、朝の掃除で窓についた結露を拭いていたのに。神戸の六甲は完全に春を迎えている。
散歩途中に見つけた早咲きの桜。この桜は、5月ころになると見事なサクランボをつける。
こちらは買い物帰りの公園で見つけた杏の花。梅かアーモンドの花かと思っていたけれど、神戸市の説明が付けられていた。ちょうど今日はアンズのジャムを買ったので、さらにこの花が可愛く見えた。これからいろんな花が咲くんだろうな。やっぱり春はいいね。
もし生まれ変わりがあるとしたら、ボクは過去生でもこんな桜や杏の花を見ていたんだろうなと思う。そんな感傷に浸る程度ならいいけれど、これを物語にするのはかなり難しい。輪廻の存在だけでも胡散臭く思われるのに、物語にする場合は本当にあるように感じさせる必要があるから。
そんな難しいテーマに挑戦した映画を観た。ただ、かなり苦戦しているなぁという印象だった。
2022年 映画#36
『インフィニット 無限の記憶』(原題:Infinite)という2021年のアメリカ映画。本来は2020年に劇場公開される予定だったけれど、コロナの影響で延期。最終的には劇場公開が断念されて、日本では今年になってAmazon限定で公開されることになった作品。まだ新作なので、ネタバレはしないのでご安心を。
過去生の記憶を持つ人間が500人ほどいる、という設定。だから死んでも生まれ変わって、過去の経験として積み上げていける。そのグループはインフィニットと呼ばれていたが、やがてその能力に耐えられないグループが出てくる。
ニヒリストというグループで、輪廻そのものを破壊しようとしていた。つまり全人類を滅亡させることで、死んでも生まれ変わりが起きないようにしようというもの。そこでエッグという恐ろしい兵器を開発した。それが1985年。
だけどトレッドウェイというインフィニットのリーダーが、エッグの開発者を殺害し、唯一製造されたエッグを奪った。ところがニヒリストとの争いになり、トレッドウェイはエッグをどこかに隠したまま死んでしまう。
ということで現代。トレッドウェイの生まれ変わりとなったのが、マーク・ウォルバーグ演じるエヴァン。見知らぬ記憶に悩まされることで、統合失調症と診断されていた。そのせいで、能力があるのに就職できない。なぜか分からないけれど日本刀を造ることができて、それをマフィアに売ることで生計を立てていた。
ところがその日本刀は、トレッドウェイにしか造れないものだった。そこでインフィニットとニヒリストのメンバーが争いながら、エヴァンに接触しようとする。どうにかニヒリストの追手を逃れたエヴァンが、トレッドウェイとしての記憶を取り戻し、エッグの隠し場所を思い出すという物語。
映画としてはかなり面白かった。いきなりのカーアクションは興奮したし、誰が誰に生まれ変わっているのかを知るのも楽しい。さらに『解脱』というニヒリストが使う武器に撃たれると、魂が吸い取られて生まれ変われないというのもユニークでよかった。
純粋にアクション映画として見るには最高だった。ただし、転生の扱い方がちょっと残念。いくつもの過去生が語られているだけで、登場人物たちの人間関係があまりくわしく描かれていない。過去生を物語として扱う場合は、2点くらいの人生に絞った方がいいと思う。あまりに欲張ると、全体に薄い印象になってしまうから。
その点を除けば、娯楽映画としてはいい出来だったと思う。マーク・ウォルバーグは、かなりアクション俳優の印象が強くなった。『テッド』で主演していたのを忘れそう。キウェルテル・イジョホーはいいイメージの役が多いけれど、今回の悪役はかなり良かったなぁ。
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